用水路

615 名前:1/4 :05/02/26 15:10:33 ID:pCtDrpHs0
小学生のとき、仲の良い友達と4人ぐらいで遊んでいました。 
初夏の暖かい日でした。 
ちょうど田植え時期だったためか、用水路の水は増加していました。 
私たちは、水遊びが楽しくて夢中で遊んでいました。 
ふと気がつくと、一人足りません。 
家に帰ったのかな? 
と、はじめは思いました。 
でも、何も言わずに帰るわけがありません。 
あわてて探しました。 
用水路で発見されたときは、もう帰らぬ人となっていました。 

事故から数年たつと、その時の記憶もうすれてきますし、 
当時仲の良かった友達とも、学校が違くなってしまったりして、 
遊ぶこともなくなりました。 
そんな頃でした。 
突然、その時遊んでいたA子から連絡があったのです。 
「久しぶりだね、元気にしてた?」 
そんな、挨拶から始まって近況などを話しました。 
電話をかけてきてくれた子は東京の学校に入って寮で暮らしていました。 
2人部屋だそうで、ルームメイトさんとも仲良く楽しく生活しているとのことでした。 
話の種が尽きてきた頃 
「あのさぁ、今日、電話かけたのはね…… 
 ○○ちゃんって、覚えてる? 
 昔、一緒に遊んでたよね。」 
○○ちゃんは、亡くなった子の名前でした。 

「覚えてるよ。忘れられるわけないじゃない。 
 あの時は、大変だったよね……。」 
「昨日、○○ちゃん、私のところに来たんだ……。 
 昼間、ルームメイトと部屋でしゃべっていた時、ドアから入ってきてさ、 
 あの時のままの姿で。 
 『会いたかった。さびしかったよ』 
 って、言ったんだ。 
 うそじゃないよ。ルームメイトも一緒に見たんだから。 
 すぐ消えちゃったけど、○○ちゃんがいた所は、水だらけだったんだから。」 
小心者な私には、それだけでガクブルでした。 
当時のことが、よみがえってきました。 
もし、恨まれてたらどうしよう。 
用水路で遊ぼうと言い出したのは、私なのです。 
「まだ、彷徨ってるのかなぁ。 
 あのさ、悪いんだけど、お線香あげてきてくれない? 
 私、そっちに帰れないから。」 
久しぶりに連絡をくれた友達の用件はそれでした。 

その電話から1週間、どうしようか悩んでいました。 
中学校にあがってからは、○○ちゃんの家には行っていません。 
それなのに、突然行ったら変かなぁとか。 
なによりも、おばさんに会うのも怖かったです。 
あなたが代わりに死ねばよかったのよって思っていると、 
当時は真剣に思っていました。 

そんな時、また当時遊んでいたB子から連絡がありました。 
○○ちゃん、私のところにもきたよ。 
という話でした。 

もう、だめぽ……。 

と、いうわけで心を決めてお線香をあげに行ってきました。 
手を合わせ 
「○○ちゃんのことは、けっして忘れないから… 
 お願い!成仏してください。」 
と心の中でさけんでいました。 

私にとっては、ほんのりでした。 
長文失礼しました。 

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