校庭をランニング

499 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/13 02:42 ID:Yes8pPaL

知り合いの話。
彼は山奥の小さな小学校に通っていた。 
その校庭にある二宮尊徳の像に、ある噂が囁かれていた。 
深夜を過ぎると、台座から降りて校庭をランニングするのだと。 
そんな馬鹿な話があるかと、彼は悪友と一緒に確認に出かけたそうだ。

学校に着くと、確かに誰かが夜の校庭を走っていた。 
近づいてみると、走っていたのは銅像ではなく初老の男性だった。 
「こんばんは」 
挨拶してきたのは、見慣れたジャージ姿の校長先生だった。 
ただし、その先生は一年前に癌で亡くなっていた。

ひどく驚き、かつ恐くもあったが、逃げ出すのも失礼な気がした彼らは 
「こんばんは。お休みなさい」 
と律儀に声をかけてから、家に帰ったのだそうだ。

つい先日、里帰りした彼は、親戚の子から学校の怪談を聞かされた。 
考える人の銅像が、深夜の校庭をランニングするという内容だったらしい。 
「ひょっとして校長先生、まだ走っているのかな」 
聞いてから、懐かしく思い出したのだという。

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