お地蔵さまの帽子

557 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/01/04 19:02
知り合いの話。
彼女の実家は、山奥にある過疎寸前の集落なのだそうだ。 
先日法事のために、久しぶりにそこに帰った時のこと。

町育ちの彼女は山が珍しく、家の周りの山道を歩き回っていた。 
荒れた細い道の傍らに小さな祠があり、中には五つの地蔵さまが並んでいた。 
お地蔵さまが寒そうに見えた彼女は、自分の毛糸の手袋で小さな帽子を作り、 
二つの頭にかぶせたのだという。

それから十分くらいして、帰りにまた祠の前を通りがかった。 
誰がしたことなのか、他の三つの地蔵の頭にも帽子がかぶさっていた。 
大きな蕗の葉っぱで作ってあったらしい。 
彼女の気のせいか、なんとなく地蔵さまの顔が得意気に見えたという。

次の日、彼女は新しく五つの帽子を作って持っていったそうだ。

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