小柄で灰色の猿

154 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :03/12/20 22:18

知り合いの話。
峠道を歩いていると、急に荷物が重くなったのだという。 
ザックにはおかしいところは見当たらず、溜まった疲労が出たのかと不安になった。 
休もうかなと考えながら歩いていると、道のすぐ横に沼が現れた。 
何気なく水面を見、思わず目を疑った。

ほんの一瞬だが、荷物に何かがしがみついているのが映っていたのだ。 
小柄で灰色な猿のような姿をしていたという。

次の瞬間、いきなり荷物が軽くなった。 
振り向いても何も見えなかったが、小走りに遠ざかる足音だけは聞こえたそうだ。 
以来、彼は山に入る時は御守りを持参するようにしている。

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