死期

412 :雷鳥一号:03/12/01 00:55

知り合いの話。
夏休みに家族で、山へキャンプに行ったのだそうだ。 
夜、ふと目を覚ますと父親がいない。 
テントから顔を出すと、父親と灰色の影がぼそぼそと話をしていた。 
彼女は父親がいることに安心して、そのまま寝てしまったという。

山から帰ってくると、父親はいきなり身の回りの整理を始めた。 
遺言を書き、財産分けまで済ませてしまい、家族はずいぶんと驚いたらしい。 
整理が終わるとほぼ同時に、父親は逝去した。 
心臓麻痺だった。

親族から、まるで自分の死期を知っていたようだと言われたそうだ。 
彼女はそのキャンプ場には二度と近づかないと言っている。

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