ここは私の山なんだよ

494 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/12/03 19:03
林業指導員に聞いた話。 
森林を調査している時のこと。 
こみいった話をしている役場の職員と山主に背を向け、目下の森を見下ろしていた。 
と…100m程離れたところに少女が一人、ぽつんと薄暗い木立の間に佇んでいる。 
一人で遊びに来ている里の子なのか、身に纏った真っ青な着物が遠目にも鮮やかだった。 
ちらりと横合いを見て、再び視線を戻す。 
すると、目の前に少女が立っていた。 
「ここは私の山なんだよ…」 
心なしか自慢げな表情でそんなことを言うと、少女はグイっと顔を寄せ、 
指導員の体を通り抜けて消えてしまった。

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