足跡

944 :聞いた話:03/12/16 00:57
村役場の職員に聞いた話。
地図を片手に、山奥にある水道施設の点検に行った時のこと。 
昨夜のうちに降り積もった雪を踏みしめて、細い山道を歩く。 
足元のまっさらな雪面に見とれるうちに、気が付くと分岐点を通り越していた。 
慌てて引き返そうとして振り向いたその場で足が止まった。 
細い道の真ん中、新雪の上に自分の足跡と、もう一つ大きな足跡がある。 
背後から後を付けるかのように、ピッタリと寄り添う足跡。 
辺りには何の気配も感じられなかったが、車のところまで走って引き返した。 
その足跡は人間離れした大きさではあったものの、ちゃんと靴を履いていたそうだ。 

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