白装束姿の老婆

834 :雷鳥一号:03/11/24 10:58

私の体験した話。
春先に、人里離れた山中で道路工事のバイトをしていた。 
まわりは杉の森林で、杉花粉がまるで黄色い雲のように見えていた。 
ネコと呼ばれる手押し車で土砂を運んでいた時に、視線を感じた。

杉木の天辺で、白装束姿の老婆が背筋をピンと伸ばして立っていた。 
無表情にこちらを見ている。

次の瞬間、大きなくしゃみが出て咳き込んでしまった。 
再び目をやると老婆の姿はもう見えなかった。 
花粉症でなかった私は、その後一年間だけ花粉症を患った。

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