百舌の早贄

547: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2006/01/29(日) 19:24:06 ID:rqz7leFP0

知り合いの話。
地元の野山で作業している時に、木の枝に奇妙な物を見つけた。 
彼の肩くらいの高さで、蛙が枝に刺さったまま干からびている。 
百舌の早贄(はやにえ)という奴だ。

ふと、親戚のお婆さんが話していたことを思い出した。 
「百舌の早贄が木の高い所にある年は、雪が深くなるんだよ」と。 
悪戯心を出した彼は、早贄ごと枝を折り取って、木の天辺の方へ差し替えた。 
それきり、そのことを忘れてしまう。

その年は暖冬になると言われていたが、蓋を開けてみると記録的な大雪になった。 
自宅の雪下ろしをしながら、あの早贄を思い出したという。 
「いや偶然だとは思うけどな。偶然の筈なんだけど」 
どことなくすっきりしない顔で彼は呟いた。

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