ちょっと変わった幽霊談


211 名前:名無し三等兵 投稿日:2001/07/29(日) 04:54 

ガキの時分に、鍼灸師のジジイから聞いた話。ちょっと変わった幽霊談です。
ニューギニアのあたりのある戦場でのこと。 
大規模な戦闘をした部隊があって、その後、その部隊の前線基地に、 
夜な夜な、死んだ兵隊たちが現われるようになったそうです。 
彼らはいずれも、足がちゃんとあり、懐かしそうに 
「よお!」とか言いながら、現われるのだそうです。 
いずれも確かに戦死した連中ばかり。 
神主の息子の兵士がまじないをやったり、お経をよめる兵士がお経を詠んだりしても、まったく効き目無し。 
そのうち、ズカズカ上がり込んできて、貴重な飯をバクバク食う始末。 
しかも、いきなり手がスルスルっと伸びて、木の実を取ったりして、明らかに化け物化している様子。 
怖いやら迷惑やらで困っていたのですが、なんとも手の施しようが無い。 
見るに見かねた中尉だか大尉だかの隊長さんが、幽霊たちが集まっているところへ、 
ツカツカと歩いていって、いきなり大声で、 
「全員、整列!」 
と言うと、素直に整列したそう。そして、 
「貴様らは、全員戦死した兵隊である。よってこの世にいてはならん。 
全員あの世へ行って成仏するように。これは命令である!」 
隊長が涙を流しながら言うと、幽霊たちは、しばらく呆然とした顔で佇んでいたが、 
そのうち全員が泣き始め、やがてボロボロと土人形のように崩れていったそう。 
あとにはその土だけが残り、彼らは二度と現われることはなかった。 
兵隊たちはその土の大部分は現地に埋め、残りを少しづつ日本に持って帰って、供養したそうです。

「へんな幽霊だね」と僕が言うと、ジジイは、 
「日本人の幽霊でも、死んだ場所が変わると、ちょいと変わるんじゃい」 
と言っておりました。

前の話へ

次の話へ