黒い腕

335 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2011/04/25(月) 21:21:35.69 ID:4zKKwHzs0 [2/3回(PC)]
友人の話。
里帰りした折、裏山で奇妙な物を見たという。 
幼い頃よく遊んでいた岩場を歩いていると、場違いな物に出会した。

黒い腕がニュッと一本、岩から突き出るようにして生えていたのだ。 
掌までの長さが彼の背丈ほどもあったらしい。 
近よると、何に反応したものか指だけがワキワキと動く。 
微かにギー、ギーという音も聞こえた。何とも不気味だ。

逃げ帰るのも癪に思えたので、腕の届く範囲を慎重に避け、山頂まで登った。 
下りる時も同じルートを通ったのだが、もう腕はなくなっていたという。

前の話へ

次の話へ