313 : ザ・ファーストもこ[] 投稿日:03/06/30 00:56
俺が厨房の頃、夜の7時くらいにチャイムが鳴った。ドアを開けるとそこには 
悪友の二人がニヤニヤと笑っていた。 
「家には来るなっていってだろー。」(当時俺は親からその悪友二人とは遊ぶな 
と言われていたため) 
「いいから来いよ!面白い物があるから!」と悪友の一人がうれしそうな顔で 
言った。「ちょっとだけだぞ・・・」と俺はしぶしぶ彼らについていった 
「なんだよ面白いことって?」と俺が言うと悪友の一人が「実はな猫捕まえた 
んだよ!」「捕まえたって、箱にでも入れたのか?」「いいや、首を紐でつない 
であるから絶対逃げられないよ」「ふーん」 
そんな具合で近くの茂みについた。「ここだよ!」「あれ?逃げたかな?」 
          ヒュー、ヒュー、ヒュー 
そこで俺が見たものは首に荷作り用の紐を巻かれたまま倒れている一匹の猫の 
姿であった、その息は荒くまるでなにかの発作のようであった。 
「やべえよ!逃げよう」と悪友の一人が言う。そして二人はそそくさと 
帰ってしまった。どうやら紐を強く締めすぎたらしい。あまりにもかわいそう 
と思った俺はその猫の首の紐を解こうと必死だった。だけど遅かった。 
紐は解けたものの猫が立ちあがることはなかった。そう思ったその時、耳元で 
誰かがこう囁いた。 
「また救えなかったね」 

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