怪しい気配

1627 :名無しさん:2012/06/29(金) 19:37:24 ID:Gd6ruBf20
初めて投稿します。
読み難い点があるかもしれませんが、ご勘弁を。

数年前学生だった頃の夏のある日。
幼馴染でもある遊び仲間4人で友人Aの一軒家に遊びに行きました。
周囲は特に何も無い某県のド田舎のこと、夕方からお菓子とジュースや缶ビールを持ち寄りダラダラと過ごし、
日もとっぷりと暮れた頃、何の気なしに自然と怪談話をしていました。

ここで簡単に各人の部屋での位置を説明しますと、一軒家の二階の六畳程の部屋で、
私は東側の壁と北側の窓にくっつけるように設置したベッドの上に友人のBと並んで座り、
真向かいにはCがベッドの反対側の勉強机の椅子をこちらに向けて座り、残りのA・Dは南側のスペースの床に胡座をかいて座っていました。
窓からは隣家の白い壁とその向こうに青々とした水田にその間を縫うようにして奥へ細く真っ直ぐに伸びた二車線の道路が見えました。
禄に外灯も無い田舎の集落、日が暮れると辺りは真っ暗になりました。
時折、道路を往来する車のブレーキランプやヘッドライトがチラチラと瞬き、道路の一部とガードレールの影を浮かび上がらせる程度。
それも深夜と言える時刻にはすっかり往来も途絶え、虫の鳴き声が耳に心地良く聞こえてきました。
二階の網戸以外全開にした窓際といえど風はあまり入ってこず、涼めるのは小さな古い扇風機だけ。

話の流れは忘れましたが、高校に上がる前に水の事故で亡くなった同級生の話をしていた時です。
人懐っこく、誰からも好かれていた好人物の懐かしい思い出話しに花を咲かせながら、
「もうすぐ命日だね。出来ればお線香上げに行きたいね。」などと話しをしていました。

窓辺で頬杖を付きつつそんな話しをしていると、扇風機とは別に窓から冷たい風が一陣吹いて来ました。
(あー、ようやく涼しくなったか……)と何気に外を見ようと首を巡らそうとして固まりました。
網戸を挟んで顔のすぐ真横に異様な気配。
視界の隅に映る窓の外は真っ暗です。
しかし、まるで自分の真横で何者かが顔を触れそうな程に寄せてジット見つめているような、視線というか、
今迄感じたことも無い圧力のようなモノが顔の右側にズーーンと伸し掛かり、
反射的に目だけでその“何か”を確認しようとした途端、頭の中で(見てはいけない、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ)という強烈な警報が鳴りました。
少しでも動けば窓のすぐ外に居る“何か”が襲い掛かってくると直感し、背筋が一気に寒くなりました。

目の前には友人が4人も居て室内は煌々と明るいというのに、突然襲ってきた未知の感覚に完全に混乱し萎縮してしまい、
口を開くことはおろか、蛇に睨まれたカエルの如く微動だにできませんでした。

周囲の友人達もいきなり無口になった私を不思議に思ったようで、私の様子を伺うのが気配で分かります。
汗とは別に脂汗が背中から滲んでくるのが何となく分かりました。
恐らく数分程度でしょうが、どうにかして動こうと意を決して上半身を横に倒し、隣の友人Bの膝の上に倒れ込みました。
その程度の動きすらその時はそれが精一杯でした。
動いたと同時に窓からの気配は消えました。
全員私の可笑しな行動に呆気に取られていたようでしたが、喋る気になれず、その場では冗談でしたと誤魔化しました。
直ぐに窓の外を覗きましたが何も見えませんし、あの不可思議な恐怖感も襲ってきません。
ふと時計を見ると午前二時を少し回っていました。

朝になってから、友人達に深夜の事を伝えましたが、皆半信半疑でした。

その一年後、事故にあい怪我が元で顔面の右半分が麻痺してしまいました。(事故直後の北○たけし氏と似た状態)
恐らく偶然なのでしょうが、今も顔面麻痺の後遺症は少し残ったままです。

スレ汚し失礼しました。


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