見えないフリ

461 :まい:2009/10/04(日) 13:30:26 ID:fBHwyItkO
兄から聞いた高校時代の話です。
友人のKさんは、その日、同じ部活の後輩と一緒に帰っていました。
時刻は10時前、田舎なので近くに家はなく、外灯の明か りしかない海岸線を、
後輩の自転車の荷台をKさんが後ろから足で押す形で、長い坂を登っていました(Kさんは原付バイク)。
それに気付いたのはバイクの 後ろに重みを感じ、まるで誰かを乗せているような錯覚を感じたからです。

ミラーを覗くと、Kさんのバイクの荷台に、長い髪の女がうつむいて座っていました。
洋服はところどころに血がにじんでおり、全体的に髪や洋服は乱れていたそうです。
女が今にも顔を上げそうな気がしたので、Kさんはミラーからあわてて 視線を外しました。
「自分がアイツに気づいてることを悟られてはいけない。
目を合せちゃいけない」と思い、前だけを見て運転をしました。

しかし、後ろから 女がジッとこちらを見ているのが分かります。
しばらくはそのまま、ミラーを絶対に見ないよう気をつけて走っていました。
ふと荷台から重みをが消え失せたの で、Kさんは恐る恐るミラーを確認しました。
すると、後ろの女はいなくなっており、一気に緊張がとけたKさんは、後輩に声をかけようと前をみた瞬間、氷つ きました。
後輩の自転車の荷台に、あの女が前を向いて座っているのです。
後輩とは、女が現れてから会話しておらず、何も気づいてない後輩を怖がらせてはい けないと思い、Kさんは女のことを黙っていました。
そして、自分の足(自転車の荷台を押している方の)を女から、なるべく遠ざけ、後は、前の自転車を見ないように走りつづけました。
途中、女が振り返り、自分をジッと見ているのは分かりましたが、決して女を視界に入れませんでした。
女は坂を登りきったところ で消えたそうです。
そのまま、無言で後輩を送り届け、その日は終わりました。
〈後日談がありますが、長くなったのできります。長文失礼しました。〉 

462 :まい:2009/10/04(日) 14:02:56 ID:fBHwyItkO
〈後日談〉
次 の日、Kさんは昨日のこと全て後輩に打ち明けました。
怖がるかと思えば、後輩は納得したように頷くと、実は…と語りだしたそうです。実は後輩は、女の存在 に気づいてるいたそうです。
途中、急に黙った先輩を不思議に思い振り返ると、先輩の後ろに髪の長い女が座っており、あわてて前を向きました。

しかし、気に なったので、何度か後ろを振り返っていると、先輩の後ろに座っていたはずの女が、
先輩の横顔を顔と顔が付きそうな近さで、凄い形相で見ていて、怖くなって、それ以降は後ろを振り返らず、
前だけを向いて走っていると、急に荷台が重くなり微かに血の匂いがしたので、あの女が来たのは分かったそうです。

しか し、女は後ろでブツブツ何か言っているようでしたが聞き取れず、しばらくすると、急に重みが消えたそうです。
Kさんは、後輩の話を聞き、女が自分に執 着してい気がして怖かったそうですが、
何の心当たりもなく、以来、1人では帰らないよう気をつけていたそうです。

その海岸線では、何年か前に女性の身元不明のご遺体が上がっており、
この話を聞いて、彼女がまださ迷っているのかなと哀しくなりました。 

前の話へ

次の話へ