稲妻

277 :2の1:04/06/21 10:42 ID:Yzka5aub
霊のはなしになるが。 

 今から約十年前、大学生だった漏れはクラブの合宿で兵庫県の山奥のホテル(冬はスキー客用になる)に泊まっていた。
その日は、合宿最終日の前日の夜で、練習日程はすべて終わっていたので、消灯後も同じ部屋の仲間でマッタリ語っていた。 
 夜中の12時近いということもあって、だんだん語りながら仲間たちは一人また一人と眠り、最後の3人だけになったとき、霊感の強いやつが「怖い話でもするか」と言ってきた。
実際すごい体験ばかりで、久々にそいつの話が聞けると思い、3人で怖い話をすることになったが、すぐに一人は寝てしまった。 
 外は、瀟々と雨が降っている。窓は閉めているがカーテンは開いていた。 
朝日を入るようにしておくと、自然に気持ちよく目が覚めるからだ。 

 そいつの怖い話はネタが尽きることなく、漏れが1つ話せばそいつは3つ話す感じで、夜中のまあ1時半くらいになっただろうか。 
ふとそいつがこう呟いたんだ。 
「なぁ、さっきから話が霊の場面になるたんびに良いタイミングで稲妻が光るんだけど、なんかタイミングよすぎて嫌だよな」 

それを聞いて、漏れは「はぁ?」と思った。実際口に出したが。 
「いやいや、全然、そもそも雷鳴ってないよ。」 
当然、稲妻など一度も光っていない。 
だがそいつは、漏れの言葉が信じられないようで、「いや、光るってのは、部屋が光るって訳で、光だから、物理的に部屋も明るくなるはずで、そうだよな?」
 ようするに、稲妻が光るたんびに、部屋が真っ白く明るくなっているということが言いたいのだ、そいつは。
しかしいくら力説されても光っていないものは光っていない。 
漏れはそういうと、彼は寝ているはずのもう一人の友人に、「なあ、○○は、さっきから聞いてどう思った?」と話を振る。 
漏れは「そいつ寝てるよ?おまえが最初の話を終わったぐらい」 というと、「顔をこっちに向けているのに?」と聞き返す。 
漏れは見てみたが、布団を被ってスースー言っている。顔は・・・隠れている。 

漏れは一言、「とりあえずもう寝ろってことだろうな。」と言い、怖い話は止めるよう言った。 

漏れは、そう言って話を切り上げ、そいつもそれに反対はしなかった。 
ただ、お互いに寝ようと布団を被る前、そいつの動きが一瞬止まり、「手・・・・・」と言った。 
「あ?どしたん?」と聞くと、何でもないと言ったが。 

 次の日の朝か昼、そいつに前夜のことを聞くと、「ああ、あれか・・・。」と言った。
だいぶ疲れている様子で、詳しく話したくなさそうだった。 
もれも、その様子を見て、「手」のことは聞けないと思った。 

今でも時々思い出す。 
 ちなみにそのときにそいつが話してくれた霊体験は、ほんのりではなく、明らかに「心霊体験を語ってくださーい」すれでも通用する超怖い体験ばかり。 

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