赤菜婆

542 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM sage 2013/10/28(月) 18:55:33.52 ID:Ci11W8l50
知り合いの話。 

山菜狩りに行った折、山菜が群生している一角を見つけた。 
どの山菜も一つ残らず、鮮やかな赤色に染まっていた。 
気持ち悪く思ったので一本も採らずその場を後にした。 

後で近所の老爺に話したところ、この山に棲んでいたという物の怪を教えてくれた。 
その物の怪は『赤菜婆』と呼ばれており、名前の通り老婆の姿をしている。 
この老婆が現れた畑の作物は、数日の内に真っ赤に変色してしまうのだそうだ。 
最も変化するのは色だけで、味などが変わることはなかったらしいが。 
米がやられた場合、これを年貢として納められなくなったので、 
米農家には大層嫌われ、また恐れられていたのだとか。 

「そっか、赤菜の婆さん、まだ現役なのかぁ」 
感心した様子で、老爺はそう言っていたそうだ。 

前の話へ

次の話へ