景山民夫はなぜ死んだのか?

856 :無名草子さん :04/03/14 23:23
ちょっと長いがすまん。

おれ、こいつの「余は如何にして・・・」を図書館から借りて読んだことあって、娘を亡くした
親の気持ちってのがしみじみ分かって、これだけ聡明な男も魔がさしたように
ころっとやられることもあるんだなぁって思ったの。
それからちょっとしてフライデー焚書事件があったの。小説家が雑誌を焼くの
はさすがにまずいだろうとは思ったけれども、フライデーなら燃やしちまえとも
思ったけどね。でも本の好きなおれはちょっと引いたね。
あるときまた図書館からエッセイ借りたのね。章の始まりごとに仮装した民夫
が出てくるやつがあって、机に座って、タバコくわえて、デスクライトに女物
パンツがぶら下がって、プラモ眺めてる奴。写真として面白いのが多くて
印象的だったんだが、この本を返したのが深夜で、図書館のブックポストに
入れといたのよ。で、あくる週、本を借りにいくと司書がその本出してきて、
「これいつ返しました?」って聞くのよ。その本ってのが、無残に丸焼け。
司書もオレがやったとは毛頭思ってなくて、夜中にその辺にたむろしてる
ガキがやったと思ってて、俺が疑われたわけじゃないんだが、フライデー焼いた
罰が当たったのかと思って笑ったの。
で、それから一月もしないうちに例の焼死事件。くわえタバコでプラモ作って
焼け死んだと聞いたときはぞっとしたね。本の神様ってのがいたとしたら、
オレだけにそっと野郎の死を教えてくれたのかもしれないなぁって思ったよ。
野郎の代表作の「COO」なんて小説読んだことないし、エッセイをつまみ食いの
ように読んだだけなんだが、忘れられない作家だよ。偶然だとは思うけど、
あまりにあんまりなんで、なんともいえない。オレ、エンジニアで怪談なんか
信じないたちだけど、これはこたえたね。

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