滑る前輪

602 名前:陸自(現職) ◆7bKeljT8EE :03/03/31 22:30
高校生の時のことです。 

無線をやりたかった私は遠方の高校に進学しました。 
バスも有ったのですが、定期代や時間的自由を考えると 
バイク通学のほうが経済的なので、2年生のときからバイク通学に換えました。 

ある日の事でした。 
試験日のため、早めに終わった私はお昼前という事もあって 
まったりとした速度で帰り道を流して・・・ 
あるカーブに差し掛かった時、妙な感覚が前輪に伝わってきました。 
なんと言うか、前輪が手のひらに乗ったような感覚、というか不思議な感じです。 
”滑る”というのではなく、例えるなら片足だけエスカレーターに乗っけたような感じ。 
実はそのカーブの近くでは、海砂を採取して陸揚げする施設があり、滑りやすく 
危険なため、いつも速度を落として通行していたんです。 
その日は、いつにも増してトロトロ運転だというのに・・・ 

ズズーッ、ズズーッ、ズズーッ・・・ 

訳が判らないままに、滑る(移動する)前輪に任せて、対向車が来ないのを 
確認してから反対車線のガードレール手前でゆっくりと停車しました。 
「なんやねん、今のは?」と、狐につままれたような気持ちで、顔を上げた先には 

”交通死亡事故現場” 

と、死亡事故現場に警告のために建ててある、先っぽがドギツイ蛍光色で彩られた 
ポールがありました。 

しかも、ピッタリその方向を向いて吸い寄せられていました・・・

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