3人の男

291 名前:麻布321456 投稿日:02/06/03 23:09
男はあせっていた、時間がない。 
「なんで起してくれなかったんだよ~」とぼやきながら走った。 
ひとの流れを縫うように・・・。 

男は幸せだった。かわいい息子はまだ2つ、女房はいまだ恋人気分。 
久しぶりの休み、今日はお出かけ。 
ベビーカーから子供を下ろし歩道橋を上がる。 
息子は車が大好きだ、肩車で高い高いがお気に入り。 
「気を付けてよ!」「ほ~ら高いだろ」 

男はイライラしていた。今日はやけに信号につかまる。 
煙草を何本すっただろうか、早くこの荷物を降ろして次ぎへ・・。 
「チェ、また赤かよ~」 

男は歩道橋を駆け上がった、駅はすぐそこ。足がもつれた。 
男は肩車をしながら一瞬気配を感じて振り向いた。 
走る男はバランスを保てなかった。肩が男の腹に当たった。 
その瞬間、肩車の男もバランスを失しない手が緩んだ。 
悲鳴が上がった。 
子供は歩道橋を越えて重力のなるがままにその高さから落下した。 

信号待からいきよいよく飛び出した車の男は一瞬なにかを見た。 
間に合わなかった、急ブレーキとともに悲鳴が錯綜した。 
車の男は目の前が全て真っ暗になった。免許がなかった。 

そして同時に3つの家族が崩壊した。 


普通の生活にありえるふつうの話。どうでもいいのでsage

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