寄り道 - ありがとう ぁみ
皆さんも今後ドライブに行くことがあると思うんですけど、僕が去年の夏に実際に体験した話を話したいと思います。 その日も男四人でドライブに行こうという話になって、トンネルを何個もくぐって山の上に登っていくようなドライブをしていました。 「この近くに心霊スポットあるやろ、行こうや」 みたいに友達が話し始めたんです。 でも助手席に座っていたトモという友人は霊感が強いので 「そういうところは遊び半分で行くもんやないで」 と言い返して、そんなやりとりがしばらく続いていたんです。 でも僕も嫌だなと思っていたんですけど、三人で近くまで行ったんです。 それでその心霊スポットギリギリのところまで行ったんです。 トモが「それ以上は足を踏み入れるなよ」みたいなことを言っていて、それでそれを言われたカツという友達も 「えー、じゃあ手だけならいいんですかー、空中~」みたいにしてふざけていたんです。 初めはカズもちょっとフザケていただけだったんですけど、そのうちその場の空気に慣れてきたのか 「何も出ないし大丈夫だよ」と言ってドンドン奥まで行ってしまったんです。 トモもそれを見て「もうしょうがねぇなぁ」みたいな顔をしていたんですけど、突然トモの顔が真剣な顔になって 「カズ! 逃げろ!!」 と大声で叫んだんです。 僕も腕を突然引っ張られて車の中に入れられて、車で待っていたジュンイチに 「急いで車出せ!」 それで車は急加速ですよ。 僕とカズは全然何も見えていなかったんで「何、何?」という状態なんですけど、トモは手を合わせてずっとブツブツと何か言っているんです。 ジュンイチは近くまでも行っていないし、とにかく運転しているだけなんですけど、そのジュンイチが突然「わっ!」と声を上げたんです。 ジュンイチはどうやらバックミラーを見たようなんです。 それでその声を聞いた助手席のトモもバッと後ろを振り向いてこう言ったんです。 「もう追いついてきよった」 それで僕も後ろを振り向いたら街灯もない山の中なのに、三百メートルくらい後ろに女の人が立っているのが見えたんです。 その女の人はゆらゆらと揺れながら、どんどんと近づいてくる。 トモもパニックになっていて 「おいジュンイチ、頼むから急げ! 中に入られたら絶対に取り憑かれるから!」 僕はもう必死に祈っているだけです。 祈っていたら突然車がバチン!と音がしてそのまま車がグワンと揺れたんです。 そうしている間にバチン、バチンと何回も音が鳴ってその度に車が揺れるんです。 その音は人が手で叩いているような音です。 ジュンイチはもう泣きながら運転しているんです。 トモもぶつぶつとお経のようなものを唱えていたんですけど、そのトモがいきなり失神してしまったんです。 もう皆パニックですよ。 だってトモが一番霊感が強くて頼りになるんですから。 その時に最後のトンネルを潜り抜けたら、さっきまで続いていた揺れも音も収まったんです。 「うわぁ、良かった。 俺ら助かったよ、逃げ切れたよ」 みたいな話をしながら走っていると、その日初めての光を見つけました。 それはもちろんただの自動販売機なんですけど、なんか帰ってきたなぁみたいな感じでホッとしていたんです。 それで自動販売機の前に車を停めて、その自動販売機の灯りを見た時初めて気がついたんです。 窓中に手形がブワーッと付いているんです。 ジュンイチが急いでタオルを持って前のガラスを拭き始めるんです。 「こんなん絶対イヤや」と言いながら。 それで俺らは中からそのジュンイチが手形を消すのを見ていたんですけど、全然取れんやんと思いながら見ていました。 そしたら外で手形を拭いていたジュンイチが 「違う、ぁみ・・・。 この手形、全部内側から付いている・・・」 うわーっと声を上げてカズの方を見たら、カズの両肩に手をおいた女がニタッと笑ったんです。 夜にドライブをすることもあると思うんですけど、知らないところへの寄り道は気をつけてください。






