不思議な部屋

657 名前:仕事に疲れてる俺1 :03/01/14 07:57
『不思議な部屋』
怖い話は以外に身近にあって
気付かないだけなのかもしれません。

時代の流れか、近所付き合いが無くなり始めた昭和の頃の話です。
Aさん一家は木造のアパートに住んでいました。
そんなある日、Aさんの奥さんが言いました。
「隣の部屋の夫婦・・・何か怖い。」と
どう怖いんだ?とAさんが奥さんに聞き返すと
「理由は無いけど・・・何か怖い。」 

隣の部屋には真面目そうな夫婦が住んでいました。
子供もいないので騒ぐ事もありませんし、
道で会えば笑顔で挨拶を交わしてくれます。
理想のご近所さんと言えるのです。
だから、Aさんはそんな事を言っちゃいけないよと奥さんに諭したのでした。
すると奥さんはこう言ったのでした。
「だって、あの部屋・・・入っていく人より
             出て行く人の方が多いのよ。」

主婦の愚痴をその場は気にも留めなかったAさんですが。
ある日、会社の同僚と居酒屋で酒を飲んでいる時に
酒の肴に隣の部屋の話をしたのでした。
すると、隣のカウンターで飲んでいた見知らぬ
くたびれた背広を着た男が詳しく話してくれと言います。 

Aさんが戸惑っていると、男は自分は高校の歴史の教師で
趣味で民俗学を研究していて不思議な話に興味があるのだと言います。
Aさんがあらためて良く見て見るとなるほど悪い人ではなさそうです。
そこで、Aさんは隣の部屋に付いて詳しく教えて上げたのでした。

それから半年が過ぎた頃の事です。
深夜に突然、機動隊が隣の部屋を占拠したのです。
後でAさんが教えてもらった話によると
隣は過激派のアジトで、このアパートを綺麗に吹き飛ばすくらいの
爆弾を作っていたそうです。 

前の話へ

次の話へ