岩狐

74 名前:岩の上の木の皮 :02/09/17 23:16
僕はその当時住んでいた家の近くの五階建てマンションの子供達と毎日遊んでいた
その時は、みんなでかくれんぼうドッヂ、というかくれんぼうの鬼が
ボールを持って見つけたらそれを当てる、という遊びをしていた
そのマンションの裏手は、桜の並木が永遠と続く、高い堤防だった
子供の頃の僕は川もないのに、なぜこんなに大きな堤防が…
とも思わなかった。
焼却炉の横のゴミ置き場に隠れていた私は、誰かが近付いてくる気配を感じ
そのゴミ置き場からマンションの床下に入り込んだ
しばらくすると、「ここにもいねーぞー!!」という大人の男性の声が聞こえた
鬼が探しに来たのでは無かったのに安心した僕は自分がいる所が、
とてつもなく広い事に驚いた
足元の土は乾いていてさらさらだった
周りには何も無かったが、10メートル先ぐらいに大きな長靴が落ちているのに気付いた
なぜこんなところに?と思いながらもその長靴に近付いていった
あと2、3メートルのところで足が止まった
長靴だと歩思っていたものは地面から這い出た感じの黒猫の頭部だった
どうして良いか分からなくなった僕は、その場から一目散に逃げた
なぜか遊んでいた友だち達はいなくなっていた
その夜あの黒猫のことが気になって眠れないでいると
僕の足元に小さな小さな黒猫がいる?   『うわっっっっっっ!!!!』

と、一声あげ飛び起きた僕は 気がついたらベットから離れた座椅子で眠っていた
その朝のニュースを見ていた僕は、見覚えのある顔の人が 

昨夜未明に殺害されたというのを見た瞬間 「ここにもいねーぞ!!」
という声が僕の頭の中で響いた まさかと思いジッと画面を見たいると
両親が「いやーここのお寺のお坊さん若かったのになあ」 と一言
ぼくは部屋に戻ったがたまらなくなり、その黒猫のことを話した
「それは黒猫じゃなくて、岩狐だよ。あのお寺の境内にある大岩の下に
封印されて、このあいだの地震でどうやらそれが解けたらしい、、、」
しばらくして父親が長細い気の箱を持ってあらわれた。
「もうお前が、、遣るしか、、ないんだぞ」
といって緑色の柄のついた15センチくらいの短剣を渡された
!!!!!!!!!
僕はそれを放り投げ そのアパートへ猛ダッシュした
床下にはもういないみたいだったが大人達が何人か追い掛けてきていた様だった
「そいつは鬼神だ!!!お前の体、乗っ取られるぞお!」
「12年前の事件はそのイワギツネの仕業なんだ!!」
      「!!!!殺すんだああ!!!!」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
気がつくと病院でした、悪夢にひどくうなされていて、病院に運ばれたらしい、、、、

その時から今でも僕の両頬からは、不自然に長いヒゲが、、、
たまにそのお寺の近くを通ると、狐岩の上にかぶさっている木の皮から何とも懐かしい、
やさしい臭いがしてきて、涙が出てくる事があります。 

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