小さな紙切れ

836 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/09/06 14:46
中3の秋,確かテストを返されている時でした。
みんなワイワイガヤガヤとにぎやかでした。
テストを受け取り,自分の机に戻ると,机の前に小さな紙切れが
ぽつんとおちていたのです。
授業中なのに騒がしい教室とは全く対照的に,その紙は静かに床にころがっていました。
普段ならゴミかなと思って,ほおっておいたのでしょうが,そのときは
なんだか無性に気になってしまいました。このときなんで拾ってしまったのか,
今,考えるととても後悔します。まさかあんなことになろうとは…。
書いてある内容などどうでもよかったのです。
私は紙屑だと思っていたのですから。しゃがんで紙に近づくと
何やら妙な文字が書いてあるのがわかりました。しかしよくわかりません。
拾い上げて……ん?…な…なんだこれは…この文章は…
紙キレを見ていた時間などほんの1秒もあったかどうか。
次の瞬間でした。
ゴチッ!!
脳天が割れたような衝撃が走りました。何が起こったかわかりませんでした。
痛みのことなんかより何が落ちてきたのかという疑問が最初に頭をよぎりました。
次第に頭に痛みがジンジンと感じられてきました。すると,突然,白く,長い手が
目の前に現れて,にゅっと落ちている紙キレに伸びてきました。
何がなんだかわからない…サッパリわからない…混乱する私は頭をさすりながら
顔をあげようとしました。すると頭上から男か女かわからない低くにごったような声が。
見上げれば泥がくずれたような顔をした大女がそこに立ちすくんでいたのです。 

「何やってんだよ。そんな趣味あったのかよ。」
女は恐ろしいまなざしで私を睨んでいました。手には先ほどの紙屑がしっかりと握られていました。
大女は罵りの言葉を繰り返しながら私の前の席に座りました。
私はようやく理解しました。その女は顔がよくないだけでなく,男にも勝とも劣らない巨漢で,
態度もでかく,誰も居ないときに気に入らない相手の机を蹴り飛ばす陰険な女でした。
こんな女が…他の女の子と授業中に手紙のヤリトリをしていると知られたら…ハートや☆やら♪やらで飾られた
キャピキャピした丸文字のレターを書いてると知られたら…。
奴はそれを恐れ,私に渾身の一撃を加えてきたのでした。手加減などという言葉は
全く感じさせず,恥辱そのものをぶつけてきたような一撃でした。
とても恐ろしい体験でした。

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