146:通りすがりのもの:2009/02/03(火) 02:49:55 ID:2N8UQUqW0
私が通っていた大学のある町では、毎年8月に花火大会が行われます 
それは異常な冷夏と悪天候が続いた年で、
霧状の小雨が降る中、花火大会が強行された時のことでした 

いつもは大学近くの川沿いの土手でみるのですが、低い雲間に隠れて花火がみえません 
見えるとこまで行こうと、私は土手の細い道を歩き出しました 

毎年大勢の人で賑やかなのに、悪天候と肌寒いせいか人影が全く見えません 
さすがに不気味さが感じられたとき、前方に黄色い傘が開いた状態で、
道端にころがっているのが見えました 

人がいる・・・私はなんとなくホッとしました 

どんどん近づくにつれ、おかしなことに気づきました 
全く人の気配がないのです 
川の近く、土手の上・・・辺りを探すのですが、やはり人影はありません 

忘れ物か風で飛ばされてきたのかな。。。 

そう考えながら、その傘に近づいていきました 

その傘を通り過ぎるとき、中を覗き込んで見ました 
小学3年ぐらいの男の子が傘の中にいました 

なんだ・・・やっぱり人がいたんだ・・・ 

ホッとして顔を上げ、何気にその後方の大きな木を見やると、 
その長く伸びた木の枝に 
3人の大人が、ぶら下がった状態でジッと私を見下ろしていました 
驚いた私は足早にその場を離れました 

しばらくして落ち着きを取り戻した後、 

自殺現場に遭遇したのなら警察に通報しなくては 

と思い、来た道を戻りましたが 
場所すら特定できませんでした 
       
前年の花火大会で小学生が、バイク事故で死んでいるのと 
この土手沿いには首吊りで有名な木があると 
以前先輩が話していたのを思い出したのは、その後でした 

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