小屋
77 : 顔 ◆3EgJTOI8PA : 2011/10/07(金) 23:11:23.25 ID:Lp9D11Ir0
友人が北海道で登山に言ったときの話
その日、彼は趣味で登山に来ていたが、吹雪かれてしまった。
どうやら予定の道からそれたらしく、別の道を歩いてたそうだ。
困ったところでただ歩いても死ぬだけ。テントでも張りたいところだが
張るには風が強すぎる。雪が少ないだけマシか・・・と思ったら
ポツンと8~10m位の所に小屋がある。誰がいつ造ったか分からないが
ひとまず入ることに・・・丁寧に風除室があり、中には誰もおらず、囲炉裏が
真ん中にあるところを見ると少々古いのかもしれない。わかりやすく「倉庫」と
丁寧に書いてある戸を開けると薪と、缶詰がこれでもかっ!!というほどあった。
薪に火を付けて缶詰を食べる・・・余裕で明日までもてそうだと思ったとき
ゴトゴトトッガッと風除室から音がする。
(俺と同類かな?)
と思い、立ち上がると風除室にそれが入って音がする。
玄関の戸を開けたとたん、ヌッと顔を出したのは見たこともないくらい
馬鹿でっかい羆。(たぶん穴持たず)
そのときそいつは(俺の人生終わりか・・・)と思ったらしい。
何しろ身長は自分の二倍、歩いただけで床がゆがむほどの巨体。
彼は思い出した、冬のクマはとにかく凶暴で、腹を満たすためなら
人をも襲うと・・・そして、それが起きたことがある三毛別のことを。
恐怖に震えていると、そのでかすぎるクマは、転がっていた缶詰を
強引に食い破り、クチャクチャ音を立てて食べ始めた。
三時間近く経ったろうか、クマは自分を襲うことはせず、
倉庫から缶詰や干し柿を出してモグモグ食べる。終いには囲炉裏の炎に
前足を当ててまるで人間のように暖まる始末・・・。
いつしか彼は寝てしまい、起きたとき
(あれ、??クマッ!?クマはどこいった?)
キョロキョロ見回しても居ない。助かった・・と思い、後ろに倒れたとき、
ドサッ
と言う音と共に自分の頬をゴワゴワとした毛がかすめた。
(????)
よく見ると、クマは自分のとなりで丸くなって眠っている。
どうやら自分をエサとして見ていたわけではなかったようだ。
その日の早朝。吹雪もやんで、おとなしくなった天気の様子を見て下山し
たそうだ。翌年もその小屋にいってみたら、泥の足跡や毛、鹿の骨が
あってすこぶる驚いたそうだ。だが、その年以来、彼はそこに行っていない。