南国の密林を彼女と二人

574 :本当にあった怖い名無し[sage]:2011/05/08(日) 13:19:03.73 ID:nS7mlnTSO
もう10年以上前。 

南国の密林を彼女と二人。探検気分だった。 
夏休みで浮かれてた。 
蛇もいただろうに、半ズボンにサンダルで藪を進んで行った。 

濃い緑の中に黒い穴があいていた。 

物凄くデカいジョロウグモが糸を張ってた。 
彼女が「中見てきて」っていうから、嫌だけど入ることに。 

横穴じゃなくて、傾斜があって降りていく。 
ライトが無いとヤバイと思ったが、しばらく行くと明るくなってきた。先が外と繋がってるみたい。 

そこで一回引き返して、彼女に「どこかにつながってるみたいだけど行ってみる?」 
で、二人で進んだ。 

暗闇を過ぎて光の下に出た。洞窟が広くなって、天井が抜けたような場所だった。陽の光が眩しかった。 

頭上から線の様な光の射す広場。 
周りの岩肌は肌色。 
そこで行き止まりだった。 
綺麗な場所だなーと思って交代で何枚か写真を撮った。 

「あれなに?」彼女が指さした先、広場の隅には、素焼きの大きなカメがあった。 
岩壁と色が同じで気が付かなかったようだ。 
近づいていくと、カメの脇に何か白い物がある。 

人骨だよ。 
砂かぶってるけど、頭蓋骨ですぐわかった。 

彼女も近づいて「これ、人の骨だよね…」 

覗いたら、カメの中にももう一人分のそれが入ってた。近くには古銭がばらまいてあった。 
一瞬でリゾート気分ぶち壊し。 

とにかく、人骨が放置されてる意味が分からなかった。法的にもどうなんだろうかってね。 

「帰ろう」と引き返してた時、よく見たら暗い所にも同じようなカメがいくつかあるんだよ。 
二人ともしばらく無言だったね。 


夕方宿に帰って、おばちゃんに「山の中で人の骨見たんですけど」って言った。 

方言で難儀したけど、要約すると 

昔、恐ろしい伝染病が流行った時の隔離場所だったらしい。 

実家にある懐かしいアルバムを開くと、若い俺の脇にあのカメが写ってる。 

以上

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