蛇殺し

564 :本当にあった怖い名無し :2006/12/27(水) 19:26:30 ID:32qz80NqO
Kさんの話 

Kさんの祖父は近所でも有名な嫌われ者だった。K家は地元の 
名家で、傲慢な性格も嫌われる原因ではあったが、何よりの 
理由は彼の悪癖にあった。彼は地元では"蛇殺し"と呼ばれ、 
蛇を殺しまくっていた。幾つもある持ち山を毎日、順繰りに渡り 
歩き、植木の剪定に使う大きな裁ち鋏で、ブツンブツンとメッタ 
斬りにしていたというから穏やかな話ではない。K家の山には 
蛇がいないというのが地元の語り草で、いつか祟りにあうと 
噂されていた。しかし、K祖父は90歳近くまで病気知らずで、 
眠るように安らかに息を引き取った。 

代替わりしたK父は温厚な性格で、集落の人々からの信望も 
厚かった。しかし、高校生の息子が新しい噂のタネとなり、 
またも集落を騒がすようになった。祖父と同じく蛇を殺しに 
山を回るようになったのだ。 
『息子…?』 
『俺だよ』 
『え…』 
『口の悪い奴はキ○ガイの隔世遺伝なんて言うけどな…』 
祖父の死後、毎日、眠るKさんの周りを蛇が這い回るように 
なったという。最初は幻覚だと思い、気でも違ったかとも 
思ったそうだが、蛇は日毎に増え、噛まれた歯型も残ったという。 
『殺した数だけ減るんだ。爺さんも悩んでたのかな』 

生前は嫌いだった偏屈者の祖父が、誰にも打ち明けることも 
なく苦しんでいたかと思うと不憫に感じたという。 
『お父さんは?』 
『親父は婿養子だからか平気だったようだ』 
『今も殺してるんですか…?』 
『今じゃ俺が"蛇殺し"って呼ばれてるよ』 
Kさんの唯一の救いは子供がいないことだそうだ。自分に 
かかった因縁を諦めながらも、原因くらいは知りたいと思い、 
情報を集めているという。だから色んな人から怖い話を聞き 
漁っている俺にも話してくれたのだろう。何か情報が入り次第、 
連絡を取り合おうと約束をして話は終わった。 

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