竹やぶの墓

486 名前: 396 2006/03/30(木) 19:26:21 ID:tawPoNBA0
ウチの実家周りは鬱蒼とした竹藪に囲まれている。 
小学校の頃には基地とか作って竹藪で遊んでた。 
ある日思い立って竹藪の丘を奥まで探検してみた。 
どこまでも続く竹林と枯れ笹に埋もれた地面の上を 
踏み分けて行くと窪んだ場所の崖っ淵に出くわした。 

覗いてみると墓石の山・山・山 

何層にも積み重なった墓石が無造作に淵の底にあった。 
何だか薄気味悪いなぁと思いつつ踵を返して家に帰った。 

後日、友達が二人遊びに来た。話が弾むうちに何となく 
この前の探検の話をしだしたら友達Aの顔色が悪くなる。 
友達Bも何かそわそわし始めた。相変わらず普通の漏れw 

「ねぇ、やめようよ」 

Aが必死で止めようとするのが面白くて話を続けていると 
Bは何だか寒いと言い出し、ついにAが恐怖の形相で叫んだ。 

「窓、窓の外に何か居るうっ!」 


昼下がりの日当たりの良い東向きの二階の窓からは 
漏れには見慣れたいつもの景色しか見当たらない。 
つまり、何にも無いし何も見えないwという訳である。 

「えー何もみえないじゃんw何か居るの?」 

からかい半分で窓を開けようとしたらAがいきなり 

「おげええぇ!」 

とゲロを吐き出した。それを見てBも漏れも唖然とする。 
尋常ではない様子を見てBがパニックに陥ってしまう。 
「嫌だ、嫌だ、どうしよう!何とかしてぇ~」と半泣き状態。 

そこで万が一、と思って用意しておいた般若心教を取り出し 
何度もお経を唱えていたら、やっとAが落ち着きを取り戻した。 


階下にタオルを取りに行きゲロの始末をしていると 
Aが真っ青な顔色をしながらボソボソと話し出した。 

「竹藪の話をし始めてから窓の外にびっしりと霊が 
張り付いて来て埋め尽くされていた。怖かったよ~。 
なのに窓を開けようとするからもう、気持ち悪くって」 

Aは霊感があったらしい。Bは普通の感覚の持ち主。 
…では漏れは? 

父から聞いた話では竹藪一帯の丘は昔は寺院があったとか。 
墓石はその名残なのでは、という事で一応納得はしたけれど。 

現在、その竹藪一帯は開発されて新興住宅地になっている。 
出るのか、出ないのかは知らないが漏れにはきっと見えないなw 

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