見知らぬ広場

169 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2012/12/31(月) 21:18:37.47 ID:LnHHOmtx0
知り合いの話。 

実家の持山に入った時のことだ。 
うっかりと下りる筋を間違えたらしく、見覚えのない広場に出た。 
刻は既に夕暮れで、「暗くなる前に知った道に戻らなければ」と焦っていた。 

方角を確認し歩き出そうとすると、プンとした匂いが鼻に届いた。 
彼は過去に大型犬を飼っていたそうだが、その獣臭によく似ていたという。 
目を凝らすと、広場の奥まった藪中に、小さな社があるのに気が付いた。 

傷んだ社の前には、毛むくじゃらの何かが蹲っていた。 
臭いが更にキツくなり、その後に唸り声が聞こえてきた。 
何物か正体はわからないが、怒っている!? 

次の瞬間、強い風が全身に吹き付けてきた。 
フワリと身体が宙に浮き、そのままコロコロと地面の上を転がる羽目になる。 
恐る恐る身を起こしてみると、そこは自分の見知った山道だったそうだ。 
その後、何度かあの広場に行ってみようとしたが、未だ辿り着けていないという。  

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