茨城大女子大生殺害事件

事件の概要

2004年1月31日午前9時頃─ 美浦村舟子を流れる清明川の河口付近で、茨城大農学部2年・原田実里さん(当時21歳)の他殺死体が通行人によって発見された。検死の結果、直接の死因は首を強く絞められたことによる窒息死と判明。しかし、首と左肩にそれぞれ刺し傷、さらに胸から腹にかけて大きく切られた痕があり、腕や太ももには打撲痕があった。遺体の切り傷は、いずれも殺害後(死後数分後)の傷と判明している。現場には被害者のジャージ(下)が残されていたが、上着や下着などの衣類や靴が発見されず、血痕も少量、足の裏に汚れが見当たらなかったことから、殺害現場は別の場所である可能性が高いと見られている。胃に残されていた内容物から、「死亡推定時刻は同日午前0~3時」と発表された。 事件発覚当初は抵抗した形跡が見られず、足の裏に汚れがないこと、裸眼での外出に不審な点があることなどから"室内犯行説"が有力視され、死亡推定時刻の少し前まで行動をともにしていた男子学生が疑いの目を向けられたが、警察に自ら問い合わせていることや供述に矛盾がないこと、被害者宅から血液反応が検出されなかったことから、被疑者対象から外されている。また、その後の調べにより、遺留品から検出された男性2人分のDNAにいずれも適合しなかったことが報じられた。

事件前後の被害者の足どり

●2004年1月30日 午後4時半─ 1月30日午後1時、東京・渋谷で所属サークルの代表として「トライアスロン学連運営委員会」に出席し、副委員長に選任される。午後4時半に退席。 午後6時過ぎ─ 交際相手である茨城大農学部の男子学生(当時21歳)に電話をして待ち合わせの約束をする。 午後9時過ぎ─ 渋谷駅から上野駅まで東京メトロ銀座線、上野駅から土浦駅までJR常磐線を乗り継ぎ、帰宅。 午後10時過ぎ─ 待ち合わせした男子学生と合流。スーパーで買い物を済ませ、男子学生と自宅で酎ハイを飲みながら食事。 ●2004年1月31日 午前0時頃─ 男子学生がうたた寝をしている間(本人の供述によると午前0時頃)に実里さんが外出。 メモの書き置きが残され、「ちょっと知り合いに会いに行きます。遅くなります」と本人の筆跡で書かれていた。 部屋からは愛用のダウンジャケットがなくなっていたが、眼鏡・コンタクトレンズ(近視/視力0.1)と携帯電話は残されていた。 午前8時頃─ 男子学生が起床してメモを発見し、心配して友人らの携帯に電話をかける。実里さんの行方が分からないまま、男子学生は車で帰宅。 午前9時頃─ 彼女の自宅から約4.5km離れた前述の場所で通行人に遺体が発見される。 午後3時頃─ 男子学生がニュースで事件を知り、警察に連絡。 午後4時頃─ 男子学生が稲敷警察署で実里さんの遺体を確認。 ●2004年2月4日(遺体発見から4日後) 自宅から約2.5km離れた土浦市内の空き地で電柱に立てかけられた実里さんの自転車が発見される。なお、この自転車は31日午前8時に同じ場所に放置されているのを目撃されていることから、彼女が自宅からこの場所まで乗ってきたか、別の場所から運んだ(乗った)犯人が乗り捨てたか、どちらかの可能性が高いと見られている。

多くの疑問点

・実里さんが男子学生を部屋に残したまま外出していること。男子学生が眠らなかったとすれば、外出をする予定だったのかどうかが分からない。 ・財布、自宅の鍵を置いて出かけている。 ・携帯電話には午後9時以降の着信・発信履歴がなく、誰かから連絡があったとすれば、固定電話でのやりとりか、直接の訪問があったと考えられる。 ・携帯電話を置いて出かけていること。誰かと長時間会うために、そして男子学生を自宅に置いて出かけているのに、連絡手段として最も便利な物を置いたままにしている。 ・視力の低い実里さんが、眼鏡・コンタクトレンズをつけないまま自転車で外出していること。 ・そして、最大の謎は"男性2人分のDNA"だ。警察からの公式発表はなく、捜査関係者からのコメントを地元テレビ局が報じたものだが、これが本当だとすれば、事件の真相につながる大きな証拠となり得るはずだ。全裸遺体、そして現場に唯一残されていたジャージに付着したDNAが物語るストーリーは、誰の想像にも難しくない。 しかし、遺族や関係者への配慮からか、この証拠を追求するための積極的な捜査は継続して行われていない。

「原田実里さん」の特徴・プロフィール

名前:原田実里さん(当時21歳) 身長:165cm 視力:0.1 居住地:茨城県稲敷郡阿見町 本籍:山口県 学校:茨城大学農学部生物生産科学科2年(トライアスロンサークル所属) 遺留品:血液が付着した被害者のジャージ(下/黒色)、自転車(自宅から約2.5km離れた土浦市内の空き地で発見)

関連動画

※この事件について扱ったテレビ番組の動画です。YouTubeよりお借りしました。 スマホで再生出来ない方はYouTubeに動画がありましたので、どうぞ。 【未解決事件】茨城・茨城大女子大生殺人事件(平成16年)

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●2004年2月2日付「毎日新聞」美浦村・女子大生殺人 首絞められ窒息死--別の場所で殺害、遺棄 /茨城  美浦村舟子の清明川河口で先月31日、阿見町阿見、茨城大農学部2年、原田実里さん(21)が他殺体で見つかった事件で、原田さんの死因は首を絞められたことによる窒息死だったことが1日、江戸崎署捜査本部の調べで分かった。 調べでは、死亡推定時刻は30日夜から31日早朝。原田さんは手足に暴行を受けた後に首を絞められ、更に首や胸など数カ所を鋭利な刃物で切られたとみられる。原田さんの自宅アパートに血痕や物色の跡は見当たらず、原田さんは夜間に別の場所で殺害され、現場で遺棄されたらしい。 また、原田さんは30日午後9時ごろから、自宅アパートで交際していたという茨城大農学部4年の男子学生(21)と酒を飲んでいた。捜査本部の事情聴取に対し男子学生は「そのまま寝入ってしまったが、1日午前0時ごろに原田さんが外出したような気配がした。翌朝になっても原田さんが帰宅しなかったため通報した」と話しているという。原田さんの自宅アパートには、普段持ち歩いている携帯電話や財布などが残されていた。また、原田さんの自転車や散歩に行く際に身につけていたという黒のダウンジャケットなどがなくなっているという。 ●2004年2月3日付「毎日新聞」美浦村・女子大生殺人 31日未明に殺害か 外出直後にトラブル? /茨城 美浦村舟子の清明川河口で阿見町阿見、茨城大農学部2年、原田実里さん(21)の絞殺体が見つかった殺人、死体遺棄事件で、江戸崎署捜査本部は2日、死亡推定時刻は先月31日午前0時ごろから同2時ごろまでの間と断定した。原田さんが自転車で外出した直後に何らかのトラブルに巻き込まれ、殺害された可能性が高いとみて足取りを追っている。 また捜査本部は、自宅からなくなっている自転車の特徴を公表、県内全域に手配した。自転車は銀色で荷台はなく、ハンドルにピンク色のライトが取り付けられているという。 調べでは、原田さんは先月30日午後9時ごろ帰宅。自宅で待っていた茨城大4年の男子学生(21)と食事をとり、酒を飲んだ。男子学生はその後うたた寝してしまったが、「31日午前0時ごろ、原田さんが外出する気配がした」と話している。捜査本部は、遺体で見つかった原田さんの胃の内容物を分析、食事からおよそ4時間後に殺害されたと判断。1人で外出後に殺害されたとの見方を強めた。 原田さんの自宅には、財布、携帯電話が残されていた。このうち携帯電話は、30日午後9時以降、通話、メールとも発信した形跡がないという。 ●2014年2月4日付「毎日新聞」美浦村・女子大生殺人 眼鏡など、自宅に--遠出する意思なかった? /茨城 美浦村舟子の清明川河口で阿見町阿見、茨城大農学部2年、原田実里さん(21)の遺体が見つかった殺人、死体遺棄事件で、原田さんが普段使っていたコンタクトレンズや眼鏡が自宅に残されていたことが3日、江戸崎署捜査本部の調べで分かった。原田さんの視力は0・1程度で、財布や携帯電話も置いて外出していることから、遠出をする意思はなかったとみられる。 調べでは、茨城大4年の男子学生(21)と自宅アパートで飲酒をしていた時に原田さんが着ていたパジャマも、自宅に残されていた。一方、黒いダウンジャケットと自転車がなくなっていることから、着替えて外出したものとみられる。また、アパートに残されていた携帯電話は午後9時以後は着信、発信ともなく、男子学生は「話し声は聞かなかった」と証言。このため、捜査本部は原田さんが外出直後にトラブルに巻き込まれ、殺害されたとの見方を強めている。原田さんの自宅アパートからは血液反応は出なかった。 同捜査本部はこれまでに捜査員延べ約350人を動員し、遺体発見現場や原田さんの自宅アパート付近で不審な人影や車が目撃されていないかどうか聞き込みを続けているが、有力な情報は得られていない。同本部は自転車が殺害現場を特定する手がかりになるとみて、発見に全力を挙げている。 ●2004年2月6日付「毎日新聞」美浦村・女子大生殺人 証拠隠滅狙う? 自転車放置で深まる謎 美浦村舟子の清明川河口で、阿見町阿見、茨城大農学部2年、原田実里さん(21)が他殺体で見つかった事件で、4日に確認された原田さんの自転車の放置場所について謎が深まっている。原田さんの自宅アパートから北西に約3キロ、遺体発見現場からは北西に約8キロ離れており、江戸崎署捜査本部は、事件に関係した何者かが証拠の隠滅や捜査のかく乱を狙って自転車を捨てた可能性もあるとみて、周辺の聞き込み捜査を進めている。 調べでは、原田さんの遺体は先月31日午前9時ごろ、清明川河口で見つかった。前日夜から原田さんのアパートにいた茨城大4年の男子学生は、「31日午前0時ごろ、原田さんが出かける気配がした」と証言。原田さんの財布や携帯電話が自宅に残されていた一方で、自転車がなくなっていた。 自転車は1日、土浦市小岩田西の空き地に放置されていたのを散歩中の男性が見つけ、4日になって通報した。空き地を資材置き場として使っている建築土木会社社員によると、31日朝には空き地の入り口から数メートル入った場所にあったという。男子学生の証言では、自転車の鍵がついていたキーホルダーには、原田さんの自宅の鍵もついていたとされる。だが、発見された自転車から自宅アパートの鍵は見つかっていない。 空き地と遺体発見現場は、原田さんの自宅アパートからほぼ反対方向にあたる。さらに、原田さんは近視だったが、眼鏡やコンタクトレンズを置いたまま夜間に自転車で移動するには「距離が長すぎる」(捜査幹部)との見方が出ている。捜査本部は、押収した原田さんの自転車に指紋や、血痕などが付着していないかどうか調べている。 ●2004年2月7日「毎日新聞」美浦村・女子大生殺人 被害者の顔にあざ、手足にも打撲痕…争った後犯行か /茨城 美浦村舟子の清明川河口で、阿見町阿見、茨城大農学部2年、原田実里さん(21)が他殺体で発見された事件で、原田さんの顔に殴られたようなあざがあったことが、江戸崎署捜査本部の調べで分かった。手足にも多数の打撲痕が見つかっており、同本部は原田さんが犯人と争った後に首を絞められて殺害されたとの見方を強めた。 調べでは、原田さんの死因は首を絞められたことによる窒息死。死亡推定時刻は31日午前0時~2時とされている。首や胸など体の前面を数カ所、鋭利な刃物で切られており、腕や胸、太ももなどに打撲痕が残っていた。刃物に対して体をかばおうとした傷はなかったが、顔面には殴られて変色した部分があった。また、原田さんの自転車は、遺体が見つかった31日の午前8時過ぎには、土浦市内の空き地に放置されていたことが確認された。自転車の周辺に争ったような跡はなく、血痕などは見つかっていない。 捜査本部にはこれまでに、遺体や自転車の発見現場付近で不審な車を目撃したという情報が計約30件も寄せられている。しかし、いずれも車を特定できるような具体的な情報ではなく、事件の解明にはつながっていない。 ●2004年2月10日「毎日新聞」美浦村・女子大生殺人 筆跡にかなりの乱れ--「出掛ける」自宅にメモ 「出掛けてくる。遅くなる」。茨城大農学部2年、原田実里さん(21)殺人、死体遺棄事件で、原田さんの自宅アパートから見つかったメモ。前夜からアパートで一緒だった友人男性にあてたものとみられるが、夜間、携帯電話や財布を残したまま外出した原田さんは、どこへ出掛け、誰と会ったのか。江戸崎署捜査本部は筆跡鑑定を行うとともに、事件直前の原田さんの行動などを詳しく調べている。 捜査本部によると、メモは自宅のテーブルの上に置かれており、筆跡はかなり乱れていたという。原田さんは先月30日午後9時ごろから、交際中の茨城大4年の男子学生(21)と自宅で飲食しており、メモはこの男子学生にあてたものとみられる。原田さんは31日午前9時ごろ、自宅から約6キロ離れた清明川河口で遺体で発見されたが、男子学生は捜査本部の調べに対し、「30日深夜から翌朝までうたた寝していた。31日午前0時ごろに原田さんが外出する気配がした」と証言した。メモは長時間の外出を示唆しているが、原田さんの財布や携帯電話、眼鏡、コンタクトレンズは自宅に残されていた。原田さんの裸眼視力は0・1程度。こうした状況で、原田さんが夜間に外出した点には謎が深まっている。 原田さんが通学などに使っていた自転車は、自宅から約3キロ離れた土浦市内の空き地で見つかっている。しかし、空き地の周辺に原田さんが深夜、訪れるような場所は見つかっていない。捜査本部は、原田さんの交友関係や、トラブルに巻き込まれる直前の足取りを慎重に調べている。 ●2013年3月4日付「茨城新聞」男2人が自転車放置 茨城大生殺害~丸9年、新たな目撃情報─ 美浦村舟子の清明川河口で2004年1月、茨城大学農学部2年、原田実里さん=当時(21)=が他殺体で見つかった殺人・死体遺棄事件は、31日で事件発覚から丸9年が経過する。捜査関係者によると、原田さんの自転車が見つかった土浦市内の空き地付近で、新たに男2人の目撃情報があり、稲敷署捜査本部は原田さんの事件について何らかの事情を知っている可能性が高いとみて、2人の割り出しを急いでいる。 捜査関係者によると、目撃情報は、作業用ズボン・ニッカーボッカー姿の男2人が、空き地近くの県道に止めたワゴン車内から、原田さんの物とみられる自転車を降ろしていたという。 原田さんの自転車は遺体発見翌日の04年2月1日朝、阿見町阿見の自宅アパートから約2・5キロ離れた同市小岩田西の空き地で、鍵が付いたままスタンドを立てた状態で見つかった。空き地は遺体発見現場とは反対方向だった。捜査本部によると、原田さんの遺体は同1月31日午前9時ごろ、清明川河口で見つかった。衣服は着けていなかった。死因は首を絞められたことによる窒息死で、首と左胸、左肩に鋭利な刃物で執拗(しつよう)に傷つけられた痕があった。 同本部は丸9年となる31日午前、JR常磐線ひたち野うしく駅と阿見町内のスーパーで情報提供を呼び掛ける。容疑者逮捕や事件解決につながる有力情報の提供者には、原田さんの遺族らから謝礼金200万円が支払われる。情報提供は捜査本部フリーダイヤル(0120)110705。

事件担当警察署

・美浦村舟子地内における女性被害殺人・死体遺棄事件捜査本部 TEL:0120-110-705 ・稲敷警察署 ・TEL:029-893-0110(内線332番) 茨城県警察本部捜査第一課 TEL:029-301-0110

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阿修羅

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