好きだったのは

博多さん  2008/09/01 16:17「怖い話投稿:ホラーテラー」
そこにある一枚の絵。










古びた額に飾ってあるのは一人の女性の裸体だった。










私は絵に近づいてみた。彼女の眼差しはこの世のものとは思えぬ美しさを放っている。 












絵に触れてみる。まだ書きかけのようで乾いていない絵の具が指につく。 









真っ赤なそれの匂いを嗅ぐと間違いなく血の匂いだった。









一体誰がこの絵の具を作ったのだろう。一体誰の血で。何の目的で。









そこで記憶が途絶えた。















ガー。ガー。 









何かが研がれる音で目が覚めた。 











私は体を固定され、台のうえに寝かされている。まったく動けない。 










誰かが近づいてくる。










「ぐちゃ」



私の腹に何かが刺された。そしてかき回される。







鮮血が闇に舞う。 









私の胸が血で染まる。まるでパレットのようだ 










私の内蔵に筆を入れかき回す。筆を洗っているようだ。








そうかさっき刺したのはこれか。









薄れゆく意識の中であの絵がこちらを向いてほほえんでいる。 














そして私は命を閉じた。

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