父の車

74 :1/2[sage] :2006/05/17(水) 19:06:50 ID:yI/V6zRx0
数年前の話。 
その日私は祖母の家に行くため、朝7時ごろ母と一緒に家を出た。 
すると、父の車が無かったので、母と 
「もう出かけたんだ、早いねー。」などと話していた。 
(その日父は釣りに行くと言っていたので。)
そして午後になり家に戻ると、父の車があった。 
「ああ、お父さん帰ってきたんだ。」と思い家に入ると誰もいない。 
「あれ?どこ行ったんだろ」と母と言っていると 
父が玄関から「ただいま」と入ってきた。

どこに行ってたのかと聞くと、「釣りに行ってて今帰ってきた。」という。 
釣りから帰って、またどこかに出かけていたのか?と聞くと、 
「どこにも行ってない。たった今釣りから帰ってきた。 
Aさん(父の友人)に送ってもらったんだよ。今日はAさんの車で行ったから。」

ここで私と母は顔を見合わせた。 
Aさんの車で行った?じゃあ今朝車がなかったのはなぜ? 
父曰く、今日は自分の車には乗ってないし、 
車が無いわけは無い、何かの見間違いじゃないのか、と。 
狭い駐車スペースの中、車があるか無いか見間違えるわけがない・・・。 
しかも、私と母の2人が確認している。 
そして午後、車はいつもの駐車場所に止まっていた。

どう考えても変だ!!と話していると、突然3人とも物凄い寒気に襲われた。 
全身鳥肌が立ち、「うわ、何だこれ」と思ったと同時に、 
当時室内で飼っていた犬が外に向かって吼え始めた。 
庭には防犯のために砂利を敷き詰めていたのだが、 
「ザリッ、ザリッ」と、人が歩く音がしていた。 
犬はその音のする方する方に走っては吼えていた。
誰かいるのかと私が近づいていくと、音が消え、犬が吼えるのをやめた。 
犬は、「あれ?」といった風にとまどっているようだった。

家の構造上、庭に回るにはまず玄関前の砂利を通っていかなければならない。 
でも、玄関付近にいた私達3人はそんな音は聞いていない。 
砂利を踏む音は突然庭に現れたのだった。 
そして、庭から外へは出られないし、もちろん外から庭にも入れない。 
(もし出られても深さ2メートルはある溝に落ちる。)

3人ともしばらく寒気が止まらなかった。 
その後とくになにか起こったということは無いけど、 
未だになんだったのか解らない、不思議な体験でした。

前の話へ

次の話へ