おばあちゃん
24 :クリやん ◆aHHsHtXLnA :2006/08/11(金) 20:49:52 ID:TL+No2S00
母方の祖母にとって初孫にあたる姉は、祖母から本当に可愛がられていた。
姉も勿論おばあちゃん子で、同じ市内にある祖母宅へ一人でも頻繁に行ったそうだ。
辛いことがあると、母ではなく祖母のもとへ打ち明けていたらしい。
勿論姉だけではなく、私も従兄弟たちも皆、やさしい祖母が大好きであった。
中学生になった頃、祖母は遠くに住む長男夫婦と同居することになった。
私は寂しかったが、姉はそれ以上に寂しかったに違いない。
そして祖母もきっと、誰よりも姉のことが気がかりだっただろう。
―――数年後のある日、真夜中に電話が鳴った。
姉が受けたその電話は、祖母が亡くなったという知らせだった。
両親は翌朝飛行機で向かうことにし、そのまま朝を待つことになったらしい。
私は期末試験の前日で、布団にテキストを広げたまま何も知らず眠っていた。
電話から数分の後、姉は金縛りになった。
そして傍らに、亡くなったはずの祖母の気配を感じた。
「○○ちゃん、○○だからね。」
優しく繰り返す祖母の声は、生きていた頃と同じ優しい声だったそうだ。
しかしそこにいるのが幽霊だとわかっていた姉は、どうしようもなく怖かった。
恐怖で目をぎゅっと閉じ、よく聞き取れない言葉に必死に頷いていたらしい。
いつも姉を気にかけていた祖母は、最後のメッセージを託しにきたのだろう。
にも関わらず『怖い』と思ってしまった自分を、姉はずっと責めていた。
「仕方ないよ、わかってくれてるよ」と慰めながら、私はやはり姉が羨ましかった。
怖くてもいい。最後に会いたかったよ、おばあちゃん。
姉ちゃんに負けないくらい、おばあちゃんが大好きだったんだよ。