テント

337 :名無しさん:2009/06/23(火) 18:29:26 ID:14TEt1bg0
底辺高校に通っていた頃。友人に兄貴の車を無免で乗り回してるKがいた。
Kの運転する車に乗り、Kと俺とあと2人(IとN)の計4人でよくつるんで夜遊びに出かけていた。
高2の夏休み中の夜。その日の昼間に女友達から噂を聞いた。
県内の某国道沿いにある廃ホテルが「出る」というのだ。
その場所はよく知っていたが、国道沿いで車通りも多いため、気味悪いという印象は特になかった。
しかし暇つぶしにはもってこいなので、早速向かうことにした。
22時過ぎ、いつもの4人で集まり、ファミレスで腹ごしらえ。
4人の中に特に霊感が強いという奴はおらず、何の危機感もないままはしゃぎまくっていた。
Nが懐中電灯を持ってきた以外は特別な準備もしていない。

そして0時すぎ、廃ホテル前についた。昼間と違いその場所は車通りも少なく、
5階建ての建物が異様に大きく見える。見上げると、割られたのか
ガラスがはまっていない窓がほとんどで、暗い内部をのぞかせている。
1Fの入り口ドアもガラス張りだが割られていて、中には容易に侵入できそうだった。
Kがハンドルを握ったまま上階を見上げながら生唾を飲む。
その様子に「何お前ビビってんの?」と3人でからかいを入れつつ
俺らは相変わらずはしゃいでいた。
ふと、ホテルの駐車場だった場所に何かあるのに気付いた。
申し訳程度に張られた侵入防止用のロープの奥の暗闇に、
幅3mくらいの白っぽい物体が、国道の街灯の光をわずかに反射している。
国道脇に停めた車からはよく見えない。しかし昼間にあんな物体があるのは見た記憶がなかった。

俺「なあ、あれなんや?」K「なんやろな」
I「N、お前懐中電灯持ってるんやから見てこい」I「ええ~・・・」
3人の視線に負けたNが1人で物体に向かう。俺らもおのおの車から降りてNと白い物体の様子をうかがう。
Nはロープの手前まで行って物体を懐中電灯で照らしたりしていたが、やがて引き返してきた。
N「テントみたいやな」I「テント?中に誰かおるんか?」
N「いや、入り口がこっちから裏側にあるらしゅうてようわからん」
俺「なんでこないなとこでテント張っとんねん」N「わしに聞くなwww」
I「確かめてみるか」K「マジ?誰かおったらやばいんちゃう?」
俺「ホテルの中よりおもろそうやなw」K「おいww」
Kは本当に少々ビビりが入っているようだが、結局4人で確かめることになった。
4人で物体を囲むように近づく。Nは、中にいる奴に接近を知られるとまずいと言って、懐中電灯を消した。

ロープをまたぐと、それがテントであることが俺の目にもはっきりわかった。
風でテントの布がかすかに揺れているが、それ以外に動きはない。
中に誰かいるようには見えなかった。
あと一歩でテントに手が届く位置まで近づいたとき、テントに異変が起きた。
中が突然明るくなったのだ。「うわああっ!」事態の急変に驚いて声を上げたのはKだ。
それに釣られて俺を含む3人も恐怖にかられ、来た道を戻って走り出した。
しかし俺はまだ冷静さが残っていた。「ビビるのは早い、どうせ浮浪者かなんかやろ」
足を止めて振り向くと、テントがガサガサと大きく揺れている。
続いて入り口のジッパーを開く音がして中の奴が出てきた。

懐中電灯を向けられたため逆光で顔はよく見えないが、全身真っ黒で背が低く
手足が異様に長い。人間離れしたその姿に改めてパニックになった俺は
「わああああ!」と悲鳴を上げて仲間の後を追った。
背後から「べた・・・べた・・・」という足音が追ってくる。
「くるなああああ!」俺はもう振り向くことができない。
「俺!早よ乗れえ!」Nが車のドアを開けて待っている。
全速力で走っているのに「べた・・・べた・・・」という足音は離れない。
やっとのことで車に飛び込み、ドアを閉める前にKは車を出した。
ドアは急発進の勢いで勝手に閉まった。
後部窓から様子をうかがうと、奴はこちらを照らしながら追ってきたが、すぐに見えなくなった。

その後10kmほど先のコンビニに向かった。ホテルの近くにもコンビニはあったが、ホテルから離れるべきと思ったのだ。
少し落ち着いたころ、Iが「なんやったんやあれは・・・なあ俺、お前近くで見たんやろ」と聞いてきた。
俺は奴の特徴をしゃべったが、奴が何なのかは俺にもわかるはずはない。
会話が切れると、Kが「もう二度と夜にあそこへは行かんわ。前も通りたくない」。
みんな同じ気持ちだった。

その後4人で夜遊びすることはなくなり、この話は禁句となった。

荷台にテントと寝袋をくくりつけ、野宿しながら自転車日本一周中のこと。
その日は和歌山方面から大阪に入り奈良へ抜けるルート。

夕方、四条畷から国道を東へ走行中、左手の道路沿いに廃ホテルを見つけ、
そこの駐車場をその晩のテント地に決めました。
夕食をとり日記をつけて、22時ごろには就寝。
0時ごろ、人の話し声と車のドアを開け閉めする音で目が覚めました。
若い男数人がどうやらこの廃ホテルに肝試しにでも来たようです。
しかも奴らの車はドロドロボボボボと重低音が香ばしいDQN仕様。
野宿中の自転車旅行者が暴走族の目に留まりボコられ身包み剥がされたという
逸話を聞いていたため、自分もそうなるのか・・・と生きた心地がしません。
奴らがとうとう自分のテント気づいたらしく、声を潜めて近づいてくる気配がテントの布越しにしてきました。
自分が中にいるのを悟られては危険な気がして身動きが取れません。
テント内に視線をめぐらすと、手元に懐中電灯。よし。
奴らの声がすぐ傍3mくらいから聞こえた瞬間、懐中電灯をON!
テントが目の前で突然明るくなりパニクった連中が、悲鳴を上げて引き返していきます。勝った!
しかしまた戻ってこられても困るので、追撃に出ることにしました。
テントを出ると連中が慌てて車に乗り込むところが見えます。
懐中電灯を連中の車に向け(逆光で自分の顔を隠すため)、
姿勢を低くして肩をいからせ、大股でのっしのっしと奴らを追うと、開いた車の窓からさらにパニクる声。
やがてかすかなスキール音を残し、連中は逃げ去ったのでした。

その後連中の再来襲はありませんでしたが、夜明けまでろくに眠れませんでした。 

339 :名無しさん:2009/06/23(火) 18:34:42 ID:14TEt1bg0
>>337-338です
>>338は実話です。この話を連中側から書いたら、
完全にオカルトになるんだろうなぁと思って創作したのが>>337。

>>338は16年ほど前の自分の実体験です。確か国道163号沿いにあった廃ホテル、
今でもあるんでしょうか。

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