「ひょこっ」

422 :412 :2006/06/05(月) 02:56:08 ID:E4bT8xfX0

5~6年前、仕事の関係で京都の某ホテルに行った。 
客室部分を2フロア程改装工事中で、上司とその工事中のフロアをうろうろとしていた。 
南北にほぼ真っ直ぐ、長い廊下が続いており、その両側(東と西)に客室があるという 
オーソドックスな造りだ。その長い廊下の真ん中にエレベーターホールがある。 
上司とオレはそのエレベーターホールから、先ず南の方にテクテクと歩いていき、各客室の工事の 
進捗具合を確認していった。

「予想通り遅れてますねぇ。」などと上司と話しながら歩いていると、「クスクスクス…。」というような、 
若い女の子数人が談笑している感じの笑い声が聞こえてきた。 
オレは、ホテルのスタッフの女の子かぁ、くらいにしか思わず、特に気にもしなかった。 
すると上司が「あっちも見てみようか~。」と言って、北側に向かって歩き出した。 
「あ、はい。」と返事してオレも北側に向かって方向転換し、長く続く廊下の向こうを見た。
時間は午後3時か4時くらいでまだ充分明るく、北側の廊下の端まで見えていた。 
と、不意にある一室から女の子が上半身を「ひょこっ」っという感じで覗かせた。 
オレ達が南側の廊下にいて、間にエレベーターホールがあって、そのホールのひとつかふたつ北隣の、東側の部屋だった。 
目が合った(気がした)瞬間、「あ!見つかった!」という感じで、その女の子は体を引っ込めた。

「あぁ、あそこにさっきの笑い声の女の子たちがいるのかぁ。給湯室とかか?」とか思いつつ、 
上司と二人で北側に向かって歩いていった。 
エレベーターホールまでの部屋は既に全て見たので、ホールまではスタスタと、どの部屋に入ることもなく 
歩いていった。すぐホールまで着き、オレは先ずその女の子が顔を出した部屋を興味本位で覗いた。 
職人のおっちゃんが一人で黙々と作業をしていた。
あれ?隣か?とすぐその隣の部屋も覗いたが、その部屋には誰も居なかった。 
そもそも落ち着いて考えれば、改装工事中の、壁紙もカーペットも引っぺがした客室階にホテルスタッフの 
女の子がいる筈がないのだ。上司に聞いても、笑い声もその女の子も全く気付いてないとのことだった。 
おかしいなぁ…と、オレ自身よく思い出そうとしたが、確かに顔も服装もはっきり見えた積もりだったのに、
いくら思い出しても真っ黒の、女の子型の影でしかなかった。

大した話でもないのに長文・駄文スマソ。

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