応急処置


490 本当にあった怖い名無し 2014/02/09(日) 10:58:35.78 ID:eIijfNJi0
未明の真夜中、ふと目が覚めたら、ベッドの横に誰か立ってた。 
ん、と見上げると、長い髪の女なんだが、顔の左目あたりの皮膚が剥け 
目玉がぶらさがっていた。 
ブラウスとスカートの服もボロボロで汚れてた。 
うぎゃあ~と飛び起きてベッドの端(壁際)に逃げてガクブルしたが 
女はただつっ立ってるだけで、まともな右目でこっち見てる。 
恨めしいとか何か訴えるとかの雰囲気は感じなかった。 

ビビって出てってくれとかナンマイダブとか言ったが変化なし。 
そのうち妙に落ちついて来くると、幽霊というより怪我した人がいると 
思うように段々なってきた。 
恐る恐る、あんた大丈夫かと言いながら近づいて、女の右頬に手を伸ばしたら触れた。 

思い立ってベッドを出て、救急箱と包帯を持ってきた。 
女の前髪を掻き揚げて、額に包帯を巻いてみると、巻ける。 
よしって調子で、ガーゼを目玉にあてがい、まともな位置に戻し 
怪我した赤い部分を含め、包帯でぐるぐる巻きにした。 
女は俺のする事に何の反応もせず、突っ立ったままされるがまま 
ただ右目でじっと見てた。 
包帯を巻き終えて女の前髪を下ろすと、ボサボサなのが気になって 
ブラシを持ってきて整えてみた。 

怖いというより痛々しい感じを何とかできた気がしてホッとした。 

次に気になったのが、ブラウスのお腹あたりにある大きな黒い染み。 
だから、他にも怪我してるとこねーか見せてみ、と言ったら 
女が初めて反応した。 
両手を上げて、ブラウスの襟に持ってくると、広げるようなしぐさをした 
と思ったら 

スッポンポーン!! 

スカート含め服が全部消えてました。 
はっきり言って美人、スタイル完璧、そして美巨乳! 
しばしポカーンと見惚れてましたが、へその左腹部にざっくりと大きな傷。 
それと、左の膝がひどい事になってました。 

正直、乳やY字のトコをチラ見しながら、両方にガーゼと包帯で手当てした。 
その間、女は恥ずかしがるわけでもなく無感情で、ただ見ているだけ。 
細かな傷は保護フィルムやバンソーコーを貼って、ひとまず終了した。 

もう服着ていいぞ、と言おうとしたが、あの汚れた服じゃあと思い直し 
ジャージの上下を用意したが、女は相変わらず立ったまま何の反応もしない。 
どうすべきかと思案したが、ふと思い出してクローゼットからバスローブを引っ張り出した。 
昔海外のホテルからガメてきたやつだ。 
後ろから、だらんと下ろしたままの両手に袖を通し、 
前に廻って見納めだなとオパーイガン見しながら裾を合わせ、腰紐を結んだ。 

一仕事終えたような満足感にしばし浸ったが、不条理な出来事にもやもや感。 
えーいもう考えるのやめ!と、キッチンに行って焼酎をストレートで2杯仰ぎ 
まだ女が脇に立っているベッドに潜り込んで、女に背を向けて寝ようとした。 

寝ようとしたが、変な体験に興奮して、なかなかねむれない。 
それでも酔いが廻ってきて、やがてトローンとしてきた。 

その時、女が布団の中に入ってきて、背中に軽く抱きつくような感覚が。 
けれど恐怖心とか全く無く、そーか今日寒いもんなーとか 
電気毛布使ってるからここなら暖かいしなーとか考えつつ、俺は眠った。 

普通だったら妙な夢見たで済ますところだが 
朝起きたら、布団の中にバスローブや包帯、バンソーコーなんかがあった。 
ぼんやり、持っていけばいいのに、と思った。 

女に面識は無し、1年半前に越して来たマンションで、今までこんな事無かった。 

ただ、あいつがいい方向に行ってくれたのかどうか 
洗濯したバスローブが窓の向こうで揺れてるのを見ながら、知りたいと思った。 

前の話へ

次の話へ