大学3年

370:大学3年 1/3:2006/05/15(月) 03:56:58 ID:s4yhuawU0

今から二年前、俺は晴れて大学生になった。 
今まで実家暮らしだったのが一人暮らしへ。 
最初は不安だったけど、少しずつ慣れていった。 

そんなある日、一通のメールが携帯へ届いた。 
『たかし(仮名)君はどんなゲームするの?』 
相手はサークル勧誘の際に知り合った3年の先輩(男)。 
交流会で話が弾んで意気投合したことから、メルアド交換へと至った。 
実際に会ったのは交流会一回きりだったが、他愛も無いゲームの話から 
俺が少し興味あったDTMの話まで、暇つぶし程度に軽く返信をしていた。 

交流会で一回会っただけの、メールだけの繋がり… 
でもそれは次第におかしな方向へと転がり始めた。 

ある日の着信。 
『たかし君の顔写真、送ってくれませんか?』 
突然届いたそのメール。何の事か分からず普通に 
「え、何でですか?」と返信した。 
『どんな顔してたかな~と思って。』と答えが返って来たが、 
あまりにも気持ち悪いのでそのまま無視していた。すると、 
『今アパートの前に来ました。』 
は?と思いキッチンの小窓からそっと覗くと、 
確かにあの先輩がそこに立っている!! 
何で家を知ってるんだ!?頭の中は完全にパニくっていたが、 
交流会の時『新歓の連絡先を』と住所等を書かされていたのを思い出した。 
「…なんで書いちゃったんだろうなぁ」と思いつつ後悔してももう遅い。 
結局その日はカーテンを閉め切り、部屋で居留守を使っていた。 
途中ニ、三度チャイムが鳴ったがもちろん出なかった。 
何時間かした後外を確認すると、その先輩はもう居なかった。 

それからも幾度と無く送られてくる先輩からのメール。 
『たかし君は普段何をしていますか?』 
『今度たかし君の家へ遊びに行ってもいいですか?』 
『たかし君、今から会えませんか?』 

俺は逃げるかの様に8月に携帯を変え、アドレスも番号も変わった。 
おかげで、先輩からのメールはぱったりと来なくなった。 

それから1年が過ぎ、あの時3年だった先輩も卒業を迎えるらしい事を知った。 
メールが来なくなったものの、どこかで不安がっていた俺はようやく解放された様な気がした。 

しかし、卒業式まで一週間という所で一通のメールが舞い込んだ。 
…差出人は、あの先輩からだった。 

『たかし君、何度も気持ちの悪いメールを送ってゴメンなさい。あんなメールを送っていたのには理由があります。 
 それは、たかし君が死んだ友人と似ていたからです。本当にゴメンなさい。』 

淡々と綴られた事実。感動?そんなモノ無い。何であいつが俺のアドレスを? 
そして、死んだ友人と俺を重ねていたという気味の悪さだけが、後に残った・・・。 

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