迷い込む

74 sage New! 2012/02/24(金) 01:10:48.17 ID:oG1HRmB4O

で、まぁ日中さんざん釣って遊んで帰りは真夜中になった。 
疲れきった自分は後部座席でグッスリ寝てた。 

んだけど、急に女性のひゃーというかきゃーみたいな悲鳴で目が覚めた。 
寝ぼけつつ様子をうかがうと両親が小声でボソボソ会話している。 
母「見た?」 
父「見たよ。ついて来たね。」 
母「やっぱ道おかしい。なんで?」 
父「2人とも気付かなかったな。戻ろう」 
みたいな。 
その時は不思議と怖くなかった。 
自分が起きたことに気づいた母は 
母「オシッコ?」 
74「ううん。」 
母「パパ道間違えちゃったみたいw」 
父「心配すんなw」 
みたいな。 
道は明らかに砂利道で轍にも雑草ボーボーで両脇から熊笹がせり出してて公道違うw 
そのあと長い距離バックしてアスファルトの道に出た。 
話はそれるが父はパトカーとチェイスして札幌から旭川まで逃走して逃げ切った武勇伝の持ち主。 
そんな父が?と子供心にもさすがに心配で林道を抜けてふもとに民家の灯りが見えるまでは起きてた。 
その間、両親はしきりに昼間の楽しいニジマス釣りの話ばかりしていた。 
その後は眠ってしまって記憶は無い。 
こっからことの真相、後日談。 

これはだいぶあとになって母から聞いた話。 
実はあの夜、人の首ほどもある大きな赤い人魂が車と併走するように、 
林道脇の木々をくぐり抜けて追いかけてきたらしい。 
母は人魂を見るのは二回目で父が見えているかどうかわからなかったそうだが、父もはっきり見ていた。 
人魂があらわれるまで不気味な脇道に迷い込んでいることに2人とも気づかなかったこと。
両親は自分74が怖がらないように騒がず冷静に状況を判断し公道に戻る決断をした、と。 
で、昼間の楽しい話をし続けたんだと。 

のちのち分かることなんだけどあの辺って廃炭鉱とかたくさんあってゴーストタウンもうじゃうじゃだとか。 
で、何が怖いかって言うと 
自分は悲鳴で目が覚めたんだけど、 
誰も悲鳴なんてあげてなかったんだよね。 

不気味な林道突入事件は人魂にいざなわれたのか、 
もしくはむしろ人魂に救ってもらったのかわからない話です。 

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