本当は強いグリム童話。紅頭巾(あかずきん)ちゃん。

Lさん  2008/03/13 20:33「怖い話投稿:ホラーテラー」
この話はフィクションです。

ある昔、紅頭巾ちゃんという女の子がいました。
ある日の事、お母さんからお使いを頼まれました。

「おばあちゃんにりんごとワインを届けてほしいの。お母さん、なかなか時間がなくてね。

紅頭巾ちゃんは

「大丈夫よ。わたしにまかせて。お母さんは毎日家事で大変なんだからこれくらいどって事ないわ。

「そう言ってくれると助かるわ。いつも言ってる事だけど、“アレ”には十分注意するのよ。

「大丈夫よ。お母さんも心配性ね!

こうして紅頭巾ちゃんはお母さんのお使いに出たのでした。
深く薄暗い森を抜けなければおばあちゃんの家へと行けません。紅頭巾ちゃんは、気合いを入れて森の中を進んで行きました。
すると後ろから声が。

「やあ紅頭巾ちゃん、これからどこに行くんだい?

狼だった。

「お母さんのお使いよ。おばあちゃんにりんごとワインを届けるの。

「それだけじゃ、つまらないじゃないか。お花を持って行ってあげたらどうだい?いい場所を知っているよ。

「そう?じゃあお願いするわ!

紅頭巾ちゃんは狼の提案をのみ花畑へと案内された。

「まあ、キレイね。おばあちゃんも喜ぶわ!

花摘みに夢中になる紅頭巾ちゃん。狼はしめしめと思いました。

「じゃあオレはこれで。

「ええ、ありがとう。狼さん。

狼は紅頭巾ちゃんの姿が見えなくなった所で、急いで先回りをした。
そう、おばあちゃんを襲い後から来る紅頭巾も襲う(食らう)策略だったのだ。
花摘みは先回りするための時間稼ぎ。狼は急いだ。


おばあちゃんの家。
しめしめババアは寝ているな……。おばあちゃんのベッドに近づくと、

「(向こうを向いたまま)おや、紅頭巾ちゃんかい?

振り向こうとした瞬間、そこにいたのは大口を開けた狼だった!

「狼か!お主何しに!

バリっ……

ゴキンっ……


一方紅頭巾ちゃん。

「さてこれくらいかな?すっかり夢中になっちゃった!早く行かないと陽がくれちゃうわ!

紅頭巾ちゃんはおばあちゃんのもとへ急いだ。
惨劇がまつ事も知らず。

バリっ……

ゴキンっ………


「ギョアアアアッーーーーーーーーっ!!!

おばあちゃんの家から、この世のものとは思えない雄叫びがあがった。

「わだすに夜這いをかけるとは99年早いわい!
この操(みさお)は死んだじい様にしか触らせん!!!!

かぐごするだな゛っ!!成敗じゃーーーっ!

ホアチャアアアアっ!!

「ギャアアアアアっ!

ばあさん宅では狼とばあさんの死闘が幕をあけていた。

小1時間後。コンコン。ドアをノックする音。

「おばあちゃん、私よ。紅頭巾よ。お母さんにお使いを頼まれたの。

「紅頭巾かい。お入り。

家へ入る。おばあちゃんの返事。でも何だか声が変。

「おばあちゃんの声、何か変よ。どうしてなの?

「ちょっと疲れたのさ。息が苦しくてね。

「どうしてそんなに、体じゅうが大きいの?

「長らくつかわない筋肉を使ったせいさ。マッチョになってしまってね。

「そう。じゃあ、アソコの壁が紅いのは何故?

「狼が夜這いをかけてきてね。今さっきこらしめたところさ。ほら、そこに転がっているだろ?


時は1時間前に戻る。
狼が牙をむく!
ばあさんはシーツをひっかぶせ、狼の視界をふさいだ!
もがく狼!!!

スキをつくばあさん!
狼の胴体をわしづかみにするとジャーマンスプレックスが発動!!
狼の頭がもろに床にぶつかる!

「はあああっ!

すかさずばあさん、ベッドからジャンプ!
狼ののど元にかかと落とし!


「グハアっ! !

「どどめじゃあ!!
70年ぶりの必殺技!
あたたたたたたっ!!!!

ばあさんを喰うはずだった狼の大口にもろにアッパーっ!!

血反吐を壁にぶちまけ狼は絶命した。

「( ̄ー+ ̄)フッ
おぬしはすでに死んでおる!

また戻って紅頭巾。
「……相変わらず元気ねーー。おばあちゃんてば。格闘技の練習はかかさないものね!
お母さんからよ。スタミナワインとプロテイン仕込みの赤りんご!
お母さんにまた気をつけろって言われたわ。おばあちゃん、操を守るために殺気立てて寝てるから逆に襲われるかもって。今日は大丈夫だったみたいね!
おばあちゃんに夜這いをかけるなんてお馬鹿な狼さん!

コンコン。ノックが。

「はあい。

かりうどだった。
「ばーちゃん、またやったのかい?
かりうどの出番がないよ。まあこちらも助かるのはいいんだけどね。

「今日はわだすの特性、狼なべといこうかの。2人とも食べていきなされ……。

つかの間の団らん。
ばーちゃんはもと格闘技世界チャンピョン。
修行はかかさないが、筋力増強剤などのそのまま飲食は苦手だった。
そして今回、お母さんが手作りで紅頭巾に頼んだのだった。

紅頭巾も数日後、格闘技大会へと出場した。

狼たちはそれ以降、ばーちゃん一家に手は出さない。
逆に喰われるから。
恐るべし!紅一家!

また一つ強いグリム童話が誕生した……。

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