茶畑

578 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/01/12 23:02
私の体験談です。

十数年前のことになりますが、仕事でK県のある町に行きました。初めての場所にレンタカーで行く
ため、早めに着くように出発しようとしたんですが仕事の都合で、そのあたりに着いたのは21:00頃
になっていました。
 まずは宿泊する旅館を探さないとと思い、車を走らせましたが旅館が見つかりません。でもそんな
に広い町じゃないからそのうち見つかるだろうと思い、適当に走っていましたが見つけることは出来ま
せん、30~40分経っても見つからないのでちょっとあせりが出てきました、「確か、チェックインが22:00時
迄て言ってたな、参ったなー、電話で場所を聞くにも今いるところが分からねーよ......」「人に聞くにも人が
いねーなー」などと独り言などつぶやいていました。

気分転換にタバコでも吸おうと思い茶畑の横に車を止め、降りてタバコを吸っていました。
 周りには明かりが無かったんですが、月夜だったので結構明るく、星も結構見えていたので「東京と
違って空がきれーだな..」など今、自分のおかれている状況も忘れほのぼのしていたところ、茶畑の
方で何か動くものが見えました、すると50mほど離れたところにモンペ姿らしい農家の女性が3人
こちらに向かって歩いてきました、この時間に人がいるのか?と不審には思いましたが、「ラッキー、
この人たちに聞いてみよう」と思い近くにくるのを待ちました。
彼女たちが10m程度に近づいてきた時にその姿を見た私は愕然としました、彼女たちはよく映画など
に出てくる防空頭巾をかぶり胸に名前を書いているような白い布をつけ、おまけに顔や服はススで汚
れたように黒くなっていたのです、直感でこの世のものではないと感じましたが、私はそこから逃げる
ことも出来ず立ちすくんでいました、彼女?たちは私の存在など眼中にない様子で通り過ぎて行った
のです。
私はその後姿を見ることが出来ず、しばらくの間固まっていました。手に持ったタバコの火が指に近づ
いた熱さで、私は我に返り彼女たちが去っていった方向を恐る恐る見ましたが何もなく、月に照らされた
茶畑が広がっているだけでした。 

私はとりあえず車に乗り、また旅館を探しました、すると今度は5分ほどで見つけることが出来ました、
それも一度通った道の脇に.........
気をつけて通ったで見落とすはずがないのですが。
その夜はもちろん寝付けるはずがなく、まんじりと朝を迎えました。旅館の人に話してみようかと思った
んですが、何か理由はよく分からないんですが聞いてはいけないような気がしたので、あえて聞くのを
やめました。
翌日仕事が終わり東京に帰ってからその地方について調べたところ、その町には太平洋戦争中に陸軍
の飛行場があり、終戦前にアメリカ軍による爆撃で動員されていた多くの女性が亡くなった事実を知りま
した、場所を照合すると私が車を止めたところは飛行場の跡だということも分かりました。

今考えても私はあの場所に引きつけられていったような気がします、その後は何もありません、怖いという
より悲しい気がします。 

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