戦場の奇跡

568 名前:仕事に疲れてる俺 1 :03/01/12 17:59
『戦場の奇跡』
不思議な事はいつ、どこで、どんな時に起こるか分からないものです。

ベトナム戦争中、最前線に送られたある若い兵隊が、
母国に帰る事だけを楽しみに生きていました。
戦場にもいつの間にか慣れてしまい、敵を殺し、そして仲間も殺され・・・
そんな若い兵隊が戦場で見る夢はいつしか
何の恐れも無くのどかに暮らしていた子供の頃の夢ばかりになっていました。

あるクリスマスの朝、若い兵隊がパトロールに出た時の事です。
ジャングルの切り株にミッキーマウスのぬいぐるみがポツリと座っていました。
若い兵隊は目を疑います、最前線のジャングルに?ミッキーマウス? 

しかし、間違いありません!スコールに叩かれすこし薄汚れていますが
間違い無くミッキーマウスです。
緑一色のジャングルにぬいぐるみの赤と黒そして黄色が鮮やかに映えています。
若い兵隊は恐る恐る近寄ってみました。そして、よく見ると
なんと!それは子供の頃、クリスマスのプレゼントにもらったミッキーマウスのぬいぐるみではないですか!!!!
小学校に上がる頃にはいつの間にか無くしてしまったぬいぐるみです。
若い兵隊は、ライフルを下ろすと
「僕のミッキーだ!僕のミッキーだ!」
と言いながら吸い込まれる様にミッキーマウスに近づいて行きました。

その時!古参の軍曹が若い兵隊の襟首をつかんで引きずり倒すと自らのライフルを構えて
ミッキーマウスを撃とうとします。若い兵隊が軍曹に止めてくれと叫んだ瞬間!
バーンと若い兵隊の頭上で軍曹のライフルが吼えたのでした。
そして、一瞬の間をおいて
ズドーンと切り株から腹に響く爆発音が聞こえて来ました・・・

ミッキーマウスは敵の仕掛け爆弾だったのです。
軍曹が若い兵隊にこう言いました。
「あのミッキーは俺が子供の頃におばあちゃんからもらったミッキーにそっくりだった。
神様が俺にくれたんだと思った・・・ 
だけど、お前も、僕のミッキーだと言うから・・・
気がついたんだ敵のミッキーだと言う事にな。」 

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