蚊帳の中

209 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/10/02 03:35 
海の近くにある親戚の家に泊まった時の話。夏だったけど、そこの家の子が
喘息もちで、蚊取り線香の類は使っておらず、代わりに蚊帳を釣ってくれた。
夜中寝苦しくて目が覚めた。暑かったので縁側から外に出た。
少し無用心かと思ったけれど、網戸とカーテンだけ閉めて、海の方へ散歩に
出た。昼間歩いたときはすぐだったのに、いつまで歩いても海に
たどり着かない。道の両側の家並みが妙に狭苦しくて、おしつけられるような
感じで、気分が悪かった。やっと海が見えたので砂浜に下りると、昼間は
乾いていた所にまで潮が満ちてきていて、その水が生ぬるく、いつのまにか
サンダルも脱げてしまっていて、恐くなったので走って家の方へ戻ると、
あっという間にたどり着いた。閉めていたはずのカーテンが開いていて、
見ると蚊帳の中に寝ている奴がいる。腹が立ったので近づいて見下ろすと
自分だった。そこではっとして目を覚まし、体を起こして蚊帳の外を見ると、
カーテンが開いていて、もう外は明るくなりかけている。縁側から蚊帳の
裾の畳の上まで、砂まみれの足跡がついていた。布団から足を出して
みたが、少しも汚れていなかった。サンダルはなくなっていた。 

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