深夜バス

126:本当にあった怖い名無し:2008/08/14(木) 21:01:51 ID:i7eYyOGS0
とあるサイトから転載 

Kさんが就職する前、大学生だった頃の出来事だ。 
当時のKさんは大学からバスで30分程の場所で一人暮らしをしており、
バイトに友人付き合いなど充実した日々を過ごしていた。 
夏盛りの夜だったとKさんは言った。

その日は友人との呑み会があってドンチャンと騒いでいたが、 
翌日にバイトが控えていた為、Kさんはバスの最終が出る前に一人帰路についたそうだ。 
むわっとするような熱気の中、なかなかやって来ないバスを待っていると、 
暗がりからゆっくりとバスの灯りが近づいてきた。 

遠目から見ても車内には人がおらず、「誰もおらんのに何でこんな時間かかってんだよ」と、 
内心で悪態をつきながらも停車したバスに乗り込んだという。 
一番後ろの席を一人で陣取ると、前の方の優先席に二人の老人が座っているのが見えた。 
何やらモゴモゴと話しているが、バスのエンジン音がうるさくて良く聞き取れなかった。 
「何話してんねやろ?」と、考えていると急にバスのアナウンスが流れた。 
「次は○○前、○○……次、止まります」 

酔っていて最初は気付かなかった、とKさんは言った。 
先を促してみれば、「だってその老人たちも私も、誰もブザー押してなかったんですよ?」と、Kさんは眉を寄せた。 

やがてバスは停車して、一人の老人が代金も払わずに降りていった。 
残されたのは、もう一人の老人とKさんのみである。 
その頃になると、「おかしいな」くらいに疑問を感じ始めていたKさんだったが、 
次の停留所で自分は降りてしまうので、深く考えるのを止めたそうだ。 

「次は○……次、止まります」 
アナウンスが流れるや、Kさんはすぐにブザーを押して席を立った。 
すると老人も席を立ち始めた。 
「げー、この老人も降りんのかよ」と思いつつも、
老人の後に付いて運転席の脇を通るとき、また気付いたことがあった。 

今度の老人もお金を払わずにバスを降りたのである。 
「あのー、さっきから爺さんが降りてってると思うんスけど……このバスって先払いとかありましたっけ? 定期ってわけじゃなさそうだし」 
酔いの勢いも手伝ってか、つい運転手に向かってそんな事を聞いた。 
すると、思わぬ答えが返ってきたのだそうだ。 
「ああ……、あの人たち、バックミラーに映らないから料金はいらないんだ」 
運転手は事も無げに、疲れた笑顔でそう答えたという。 

「深夜のバスが遅れてくる時は気をつけた方がいいですよ、
乗ってる可能性ありますから」と、最後にKさんは締めくくった。 

バスのブザーが鳴ってもいないのに、アナウンスが「次止まります」と言ったら、
運転手はバックミラーを確認することがある。 
それは乗っている人たちが、どちらの人なのかを確認する為だそうだ。 

終わり 
個人的に深夜バスを利用することが多いから勘弁してくれって思った 

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