肝試し

378 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/08/02 00:28
中学生の頃の実体験。
夏休み前恒例のキャンプ。初日の夜、時間つぶしに肝試しをすることになった。
キャンプ場と、数百メートル離れた湖を結ぶ道路が有料道路なのだが、
その料金所は夜間無人。数人のグループになってその料金所まで行って
戻ってくる…という大して怖そうでもないコース。生徒達はつまらんと
文句を言ったが、他のコースにするなら中止と教師が言い張るので、渋々
皆従った。
 10分おきに出掛けていく生徒達。私はその真ん中当たりのグループ
だったと思う。一本道だったから、折り返してくる先発グループとすれ違って
もいいのに、誰一人戻ってこない。 

おかしいね、どうしたんだろうとグループの子達と首を傾げながら、
折り返し地点の料金所について、理由が判った。皆、後から来る連中
を驚かそうとして待っていたのだが、大していい方法も思いつかず
そのうち飽きてたらたらだべっていたらしい。誰も戻ろうとしない
ものだから、とうとう最後のグループも料金所に着いてしまった。
 さんざんだらだらしてそろそろ戻ろうか、と誰ともなしに言い出
したそのとき。車のヘッドランプが遠くに見えた。
「あれは、●×先生のマーチのライトだ」
男子のひとりが云った。私たちが戻ってこないので、副担任が様子を
見に来たらしい。 

「よし、いっちょ先生を驚かせてやろう!」
私たちの行動は素早かった。
料金所の前後に、高さ1メートル30センチくらいのコンクリートの壁
があった。衝突防止用らしいそれは、ぼうぼうに延びた夏草で走る車か
らはよく見えないだろう。
車の走ってくる方向、つまり私たちの来た方向の壁に、クラスでも一番
幼く見えるK君が登った。草の中に二人が隠れ、持ってきた懐中電灯で
K君を下からライトアップ。なかなか不気味なK君の見え具合に満足し
た私たち他の者は、思い思いに道路脇の草むらや側溝のなかに身を隠し
て車を待った。 

ところがそのヘッドランプがなかなか近づいてこないのだ。
かといって止まっているというふうでもない。こちらに向かって
走ってきているようなのだが、どうにも光が近づいてこない。
「ずいぶんのろっちい運転だなぁ」などと言っているとその明りが
ふっとかき消えてしまった。生徒全員が目撃するなか、事故でも起こしたのでは
ないかとだれかが言い出し、キャンプ場のに向かって戻って行ったのだが
途中にそれらしき痕跡はみつからなかった。
キャンプ場につくと、担任も副担任もそこにいて、もう少しして戻らなければ
探しに行くところだったと怒られた。あの光はなんだったのだろう? 

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