伝言

287 名前:怖かったんだもん :02/07/23 09:51
去年の今頃の話です。その日主人が出張中で、4才の息子とふたりの夜のこと。
なかなか寝付いてくれないので添い寝して本を読んでやってたんです。
本の内容に笑ったりして機嫌の良かった息子が急に静かになりました。
「寝たのかな?」と思い息子を見ると、天井の隅を凝視してるんです。
私が見ても何もない。
「どうしたの?」って聞こうとした瞬間飛び起きて、見ている場所とは反対の隅に逃げるように後ずさっていくんです。
名前を呼んでも返事もせず、引きつった顔で天井を凝視したまま。
[怖いけど目を離せない何かが居る]そんな感じでした。
側に行き「どうしたの?何がいるの?大丈夫よ」って言っても私の肩越しに見つめています。
そのうち息子の視線が移動し「それ」が私たちに近づいて来たと感じたので、
泣き始めた息子を抱きかかえて寝室を飛び出しました。
ただ、外に出るのも怖いのでリビングを出来るだけ明るくしTVやCDをつけ、泣きじゃくる息子をあやしながら途方に暮れてました。
息子は徐々に落ち着いて泣き疲れもあり眠ったのですが寝室に戻る勇気はなく
リビングで夜が明けるのを待ちました。
朝になり息子に聞いて見たら何も覚えてない様子。
腑に落ちないまま家事を済ませ一息ついた時、同じマンションに住むSさんから電話がかかってきました。
「驚かせたくは無いんだけど、昨夜おばあちゃんが来てたでしょ」
「え?」
「あなたのおばあちゃんよ。細身で右足を悪くしてる女性」
確かに私には右足の悪い祖母が居ますが、両親が離婚した後疎遠になり10年以上会ってません。叔父と県外で暮らしていると聞いていました。
「最後にあなたとひ孫の顔を見たかったって。驚かせてすまないって」
どうやらSさんは「見える人」で祖母に伝言を頼まれたようなのです。
Sさんとの会話を終え急いで叔父に電話をかけました。
叔父は驚きながらも昨夜祖母が亡くなったことを教えてくれました。
息子は祖母の顔を知らないとはいえ怖がったことを申し訳なく思っています。 

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