人食い鬼

737 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :02/06/10 10:54
私がまだ幼かった頃の話。家族でよくおじいちゃん家に遊びに行ってた。
古い木造家屋ですぐ裏にはうっそうとした竹林があった。
で、祖父母が言うにはあの竹やぶには子供を食う鬼が住んでるんだとか。
当時から心霊だの妖怪だのが大好きだった私は興味深々で話をねだった。
「出刃包丁を持っていて夜泣きする子供をさらって行く」
「昨日竹やぶに入って仕事をしていたら小さなしゃれこうべを見つけた、
可愛そうに」等、当時は本気で信じていた。
そして、初めてその祖父母宅に年の離れた兄と姉と3人だけで泊まりに言った時のこと。
あかあさんっ子だった私は夜、急に寂しくなりわあわあと泣き出した。
最初は皆笑ってなだめてくれていたけれど次第に祖母の顔が険しくなっていった。
「お前がそんなに泣くから人食い鬼にみつかちゃったよ」
「玄関の前に来て待ってる、追い返してくる」と行って祖母は玄関へ向かうと人食い鬼とガチンコ勝負開始。
「家には小さい子供なんかいないと言ってるだろう!?」
言い争った後、足早に戻ってきて「裏口に回られた」と今度は裏口にて撃退開始。
それを見た私は姉にしがみ付きまた「おかあさ~ん」と大声で泣くを繰り返す。
結局祖母は玄関ー裏口を3往復ほどしていた。大騒ぎの末、泣きつかれて眠ったように思う。

次の日、兄が昨夜の一部始終をカセットに録音してあると言い出し、
祖母の怒鳴り声も私の泣き声もばっちり入ったそれを聞いて昨日は大変だったねぇ。と口々に言い合っていた。
鬼に食べられなくて本当に良かった、おばあちゃん有難う、と目に涙を浮かべながら思った。

因にこれは20年ほど前の出来事。
うちの地方には山奥に住み子供をさらって行くという妖怪の話が昔からあるそうです。
家族に一芝居打たれたのかもしれないが、祖父母はそういう性格ではなかったように思う。

未だに忘れることの出来ない不思議な出来事でした。 

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