キャンプ

66 キャンプ 1/8 sage 2006/06/10(土) 15:45:25 ID:izmpgpBg0
小学生くらいのときに何かで読んだ話。
昨日寝てるときに思い出したので。
うる覚えなので脳内補填が大分入っています。

ぼくは今年、小学3年生になった。

するとお父さんが、
「三年生か。お兄ちゃんになった。よし!今度二人だけでキャンプに行こう!」
と言ってくれた。

お父さんの話では、山にハイキングに行き、魚を釣って食べたり、
ご飯も自分で炊いたり、そして夜は自分たちで張ったテントで一泊するらしい。
すごく楽しそう!ぼくはとても嬉しかった。

キャンプは今週の土日に行くことになった。

お父さんはキャンプ当日までに、ハイキングに必要な靴や服を買ってくれたり、
テントの張り方や魚の釣り方、ご飯の炊き方を教えてくれたりした。

「いいか。山の夜はとても静かだ。星もとてもきれいなんだぞ。」
「お父さんは何でも知ってるんだね!すごいや!!」

そんなお父さんが僕はとても頼もしく、とても好きだった。
そして金曜の夜。明日は出発が朝早くだったから早く寝た。


こわい夢を見た。

ぼくはどうやら山の中にいるらしい。
目前の茂みの中に、傷だらけで、血だらけのお父さんがいた。

「助けてくれぇ・・・。助けてくれぇ・・・。」

そう何度も、つぶやいていた。
ぼくは怯えながらも急いで駆けより、泣きながら抱きついた。
すると抱きつくと同時に、お父さんの身体がぐしゃりとつぶれた。
お父さんをつぶしてしまった感触が、とてもリアルだった。

そんな夢だった。

目がさめると、とてもいい青空だった。

「ほら!今日は暑くなるぞ!!」
とても明るいお父さんの声にすぐに安心し、夢のことは気にすらならなかった。

ハイキング、初めての魚釣りに飯盒でのご飯炊き、夕飯のあとはお父さんといろんな話をした。
どれもとても新鮮で、ぼくはとてもはしゃいだ。

寝支度をして、テントに入り、寝袋に包まる。
お父さんの言っていた通り、山の夜はとても静かだ。

俺の部屋のプラモデル入れてるケースも
いっつもガラスの窓がカランカランいってうるさい
で、窓あけとくと不定期的に窓が閉まってる

きんもー☆

ふと声が聞こえるような気がした。
「助けてくれぇ・・・。助けてくれ・・・。」

かすかな声だ。テントの外から。
「助けてくれぇ・・・。助けてくれ・・・。」

さっきよりはっきり聞こえた。急に昨日の夢を思い出し、
怖くなり隣に寝ているはずのお父さんを確認した。

大きな背中。
お父さんはちゃんとそこにいた。
お父さんもその声に気がついたようだった。
「何だろう。もう夜中なのに。・・・ちょっと見てくるよ。」

ぼくは正直1人にして欲しくなかった。

「やだよ!ここにいてよ!!」
「だいじょうぶ。もし怪我人でもいたら大変だろ?
 テントの周りをぐるっとみてくるだけだから。」

お父さんはそう言うと外にでた。

お父さんの足音がテントの外から聞こえてくる。
周りを見渡しながら歩いているのだろう、歩調はとてもゆっくりだ。

テントを半周ほどしたあたりで、お父さんの足音が消えた。
急に山の夜の静寂が戻った。


三四分は経っただろうか。お父さんの足音はまだ聞こえてこない。
不安になって声をかけようとすると、歩みだした。
その後すぐにお父さんはテントの中に帰ってきた。
「何もいなかったよ。風で気がこすれたんじゃないかな。さぁ安心して寝よう。」

その後何も無く朝を迎えた。
唯一、お父さんの雰囲気が朝起きると少し変わっていた。
違和感があった。昨夜テントに入るまでの父とは何かが。

朝食を食べ、テントを片付け、家へのお土産の魚を釣って帰った。
「たくさん釣れたな!きっとお母さん喜ぶぞ!」
「うん・・・。そうだね・・・。」

帰りの山道、お父さんと手をつなぎながら歩いていた。

「助けてくれぇ・・・。助けてくれぇ・・・。」

再びあの声が聞こえてきた。どうやら山道の脇の茂みからのようだ。
また夢を思い出す。

ガサッ!!

茂みの中から、傷だらけで、血だらけの男が立ち上がった。
また夢を思い出す。

よく見るとお父さんだった。傷だらけで、血だらけのお父さんだった。
また夢を思い出す。

何がなんだかわからなくなった。でも駆け寄らずにはいられなかった。
すると、手をつないでいる父が引っ張り引き止めて言った。

「あれはニセモノだ。行ってはダメだ!!」

そう言われ、目の前の傷だらけで、血だらけのお父さんがとても恐ろしく見えてきた。
また夢を思い出す。

ぼくは心の中で思った。

『こわい!!こわい!!こわい!!』

握っていた父の温かい手がとても頼もしかった。
怖くて思わず、お父さんの腕に両手ですがった。


お父さんの腕がぐしゃりとつぶれた。

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