悪寒

32 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/03/20 18:25
妙に寝つけなくて夜中ベッドを抜け出した。
両親ももう眠っているらしく家の中はしんと静まりかえっていた。
階段の明かりをつけてしずしずと降りて行くとふいに得体の知れない悪寒に襲われた。
何故だかわからない。とにかく胸の奥の方が震えて恐怖心が気味悪く増殖していた。
一階に下りると電気のスイッチを全部つけた。
夜の家の中が怖いと思ったことはない。
あるかもしれないが、そんなことは小さな頃の話だ。
音がなにも聞こえない。
アナログの壁掛け時計でもあればカチカチという音がさぞ大きく聞こえていることだろう。
リビングでぼうっと座っていると寒気がじわじわと全身に広がっていった。
なんで?
理由もない。ただ怖いという感覚が針のように周囲へ伸びていた。
玄関の方やカーテンの方へ首を動かすのさえ割れ物に触るみたいに怖い。
お化けでもでそうな雰囲気だ。そう思ったとたん空気が変わったような感じがした。
この世のものでない何かが現れるにはこんな「感覚」が必要なのか。
その時ギィッと音がしてリビングのドアが開いた。
「・・・なにしてんの」
心臓が止るかと思った。
「姉ちゃん。おどかすなよ」
姉も寝つけなくて起きてきたそうだ。お互いあくびをしながらしょうもない話をしたあと姉が飲み物を入れてくれた。
熱いお茶だった。悪寒が消え体の芯があったまるようで気持ちが良かった。
同じく美味しそうにお茶を飲む姉を見てふと思った。
夏なのに。 

前の話へ

次の話へ