お茶出したげて

483 名前:野戦指揮官名無し :2001/07/19(木) 00:04
ばあちゃんが危篤で入院してたときのこと。
俺は田舎に呼び戻されて、連日病院に泊まり込んでる親父と交替した。
ばあちゃんは酸素吸入を受けてずっと昏睡している。
鼻の酸素チューブをいやがってはずしてしまうので、寝ずの番でチューブが
はずれたら直す。とっても退屈。病棟は古い木造で校舎みたいだった。
明け方、一寝入りした親父が交替に来た。喫煙室でしばし会話する。
親父「ばあちゃん、何もなかったか? 何か言わんかったか?」
俺「何も。だって意識ないやん」
親父「こないだ、夜中に起きたんや」
俺「へえ。まだ意識あったのん」
親父「それでな、『●●のおじさんが来たからお茶出したげて』て言うんや」
俺「誰やの、その●●のおじさんて」
親父「ばあちゃんのお兄さんや。もう死んどる」
俺「気持ち悪い話やな~」
親父「すぐ寝てしもうたけどな。せやから儂気味悪うてここおるのいやなんや」
俺「それで俺呼んだんかい!」
親父「せや」
俺はもう一晩世話したが、何もなかった。
俺が東京に戻って数日後、ばあちゃんは息を引き取った。
たぶん意識が混濁しとったせいや思うけど。 

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