コール

242 : 本当にあった怖い名無し : 2011/10/15(土) 13:39:02.70 ID:AXnDeusI0 [1/1回発言] 
尾瀬には何度か行きました。 
尾瀬国立公園の4割を東電が所有しているそうですが、どうなるんでしょうね。 
残雪のころ東電小屋から見晴新道経由で燧ケ岳に登ったときの事です。 

柴安 から俎 への下りにビビリながら、ミノブチ岳との鞍部でアイゼンを付けて 
ナデッ窪を下りました。このコース、雪崩窪がなまってナデッ窪になったと言うだけ 
あって、かなりの斜度があります。というか怖いです。 
前方すぐ下に尾瀬沼の沼尻と木道が見えるのですが、なかなか近づきません。このときも 
かなり残雪が残っており、ここぞと言う所でアイゼン持って来た俺すげぇうはっ、 
とかアホなことを考えて強がっていると、後ろでラーク!のコールが。 

振り向くまもなく、拳半分ぐらいの石が、右横1mぐらいをブッーーッンと唸って、 
すっ飛んでいきました。ドップラー効果が確認できたので、かなり近かったと思います。 
振り仰いで見ると、やや上のほうで両手を振っている人影の上半身が見えました。 
ちょっと冷や汗ものでしたが、こちらも手で無事の合図を送って降り始めました。 

その後も何度かカラカラと落石の音がしましたが、先ほどのように危ない事はなく、 
やがて雪渓も無くなってクマザサやナナカマドが現れました。かなり足にきましたので、 
斜度がなくなった所で少し休憩。あの落石は実はさっきの人が?とか思いつつ、 
しばらく待っていましたが、件の人なかなか降りてきません。 

この位置からは、斜面の大部分が見えるのですが、人影は皆無。まさかこの斜面を 
途中から引き返したとは思えず、よもや…とちょっと心配になりましたが、 
今更登り返す気力も無かったので尾瀬沼へ歩きだしました。 

沼尻休憩所で正面に燧ケ岳とナデッ窪を眺めながら、小一時間座っていましたが、 
結局ナデッ窪を通る人は一人も居りませんでした。 
一本道なのでいろいろ解せない点がありましたが、ひとまず大清水に抜けました。 

途中、尾瀬沼山荘の所で捜索願の張り紙を恐々チラ見しながら、どうしたものかと 
迷っていました。確かに声も姿も見えたのですが、何だか不自然で確信が持てなかった 
のです。上半身だけ見えたところとか。 

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